株式に関する記事一覧
2023.4.28

投資信託 vs ETF 知っておくべき違いと選び方

投資信託 vs ETF 知っておくべき違いと選び方
目次
01. 
ETFの定義と仕組み
矢印
02. 
投資信託とETFの違い
矢印
03. 
結局、投資信託とETFのどっちにすればいいの?
矢印
04. 
まとめ
矢印

ボンジョルノ!皆さん、こんにちは!

昨今、巷ではインデックス投資といって、日経平均株価指数やS&P500指数といった指数(インデックス)に連動する商品へ投資することが流行っています。そしてその際に利用されるのが投資信託やETFとなります。どちらも比較的少額から投資が可能となっており、特に投資信託はNISAや企業型確定拠出年金制度などでも活用されるので、馴染みがあるかと思います。一方で特定口座での取引や一般NISAであればETFを通じてインデックス投資することも可能です。

この記事では、投資信託とETFの違いを解説していきます。投資信託とETFどちらを選べばいいの?という皆様の疑問が少しでも晴れればいいなと思います!

ETFの定義と仕組み

ETFとは、Exchange Traded Fundsの頭文字からきており、意味としては「取引所でトレードされるファンド」となり、日本語では上場投資信託と呼ばれます。その名の通り、証券取引所に上場されており、株式同様に市場で売り買いができる投資信託です。

ETFの歴史は、1990年にカナダで初めて上場されたものが起源といわれています。当時、インデックスファンドという、市場株価指数等に連動する運用をする投資信託が人気を博していました。しかし、インデックスファンドは、一日一回更新される基準価額でしか売買できないため、市場のリアルタイムでの急激な相場変動に対応することができませんでした。

これに対して、ETFは証券取引所で売買されるため、市場が開いている間であればリアルタイムで相場の値動きがETFの価格にも織り込まれるため、投資家はETFを利用することで市場の急激な相場変動にも対応することができるようになりました。その人気は、1990年代後半から急速に広がり、現在では世界中で取引されています。日本でも、2001年に初めてETFが登場しました。現在では、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数に連動するETFが人気を博しています。

またETFが注目される理由の1つは、低い運用費用です。投資信託であればファンドの販売にあたり販売会社を介して投資家に届けるため、中間業者の経費を直接的・間接的に投資家が負担する必要がありますが、ETFであれば市場での売買となるため、販売会社を介す必要がないため投資信託より経費率で有利となります。またETFの多くはパッシブ運用を運用方針として設計されており、この点でも運用費用や信託報酬が低いものが多いです。

例えば米国のS&P500指数に連動する商品として、米国金融機関であるステート・ストリート社が提供するSPDR S&P500 ETFというものがあります。指数連動ということでパッシブ運用となっており、経費率も2023年5月時点で0.09%となっており圧倒的な低コストで運用されています。S&P500に連動するETFは他にもいくつもあり経費率などの違いもありますので、興味がある方は比較してみると面白いと思います。

また、ETFの中には、特定の業種や分野に投資するETFもあります。たとえば、テクノロジー分野に特化したETFや、環境に配慮した企業に投資するETFなどがあります。これらのETFは、投資家が自分の投資ポートフォリオを構成する際に、特定の業種や分野に対して重点的に投資することができます。半導体セクターに特化したETFや、ハイテク企業に特化したETFがあります。また全世界の株式市場に投資するETFというのも存在し、これは1つのETFを購入するだけで先進国市場と新興国市場などへの分散投資が可能になり利便性が高いです。

一方、投資信託は、どうでしょうか?投資信託は各証券会社や銀行が取り扱う商品の中から選択することができ、ETF同様にS&P500指数に連動するものも存在します。前述のS&P500などの指数に連動するパッシブ運用の投資信託であればETFに匹敵するほど経費率が低い商品もあります。投資信託という特性上、ETFと違って市場が開いている間に価格が上下することはなく、基準価額は日単位で更新されます。(土日など市場が閉まっている場合は更新されません。)ETFと違って一日の間に価格が動くことはないので、デイトレーディングに利用することはできません。インデックス投資による長期投資が目的であれば、投資信託とETFのどちらを選択しても得られるリターンは大きく変わらないでしょう。

どちらも個人投資家が手軽に分散投資による市場平均リターンを得られる投資手段であり、投資信託やETFを通じて少額でも分散ポートフォリオを形成することができます。

投資信託とETFの違い

投資信託のイメージ図

投資信託とETFを使うことで、投資家は個人で運用戦略を決めたり個別銘柄をたくさん購入しなくても、手軽に資産運用を行うことができます。何故なら投資信託であればETFであれ運用については、それぞれのファンドの運用戦略に沿って自動で行われるので、個人はただ購入して保有するだけでよいからです。語弊があるかもしれませんが、投資信託やETFは「シェフのお任せメニューセット」という感じでしょうか。「S&P500指数に連動する」、「半導体産業に投資する」、「インド株に投資する」などのテーマを決めるだけで個別銘柄を見ずとも運用を任せられるイメージです。

ポートフォリオ(投資配分)のイメージ図

また、投資信託とETFの運用方針も異なります。投資信託は、目標とする運用成果を達成するために、管理会社が投資方針を定めてポートフォリオを組成します。要するにどういう銘柄に投資するかを決めて、複数の銘柄セット(ポートフォリオ)を決めるわけです。市場平均以上を狙っていくアクティブ運用と、指数連動に一致することを狙るパッシブ運用があります。

一方、ETFはパッシブ運用がほとんどです。そのためアクティブ運用のファンドに投資したい場合は投資信託が選択肢となるでしょう。とはいえETFの中でもアクティブ運用のものも存在しますし、ETFの商品性は日々進化していますので今後もETFの動向は要チェックです。運用戦略という観点では投資信託とETFで差異はないという方向に向かっている状況です。

それでは投資信託とETFの細かい比較をしていきたいと思います。アクティブ運用型のETFも米国では存在しているため、正直、運用方針という観点であれば投資信託もETFでもそれぞれ中身次第という状況です。ですので、あくまで投資信託とETFの違いという観点だけで比較したいと思います。

信用取引の可否

投資信託では信用取引はできません。ETFでは信用取引が可能ですので、レバレッジを効かせて保有資金以上での取引が可能となります。また売りから入ることもできるので、価格下落の中でも利益を狙うことができます。また、上級者向けかと思いますが、保有銘柄の下落が予想されるが手放したくないときに、値動きが類似しているETFを売りから入ることで、ヘッジを効かせるという使い方もETFなら可能です。

最低購入価格

投資信託であれば1銘柄100円から購入可能などの可能性があります。また国内で取り扱いのある投資信託から選ぶゆえに円で購入できるので、投資家の方が為替レートや為替手数料を意識する必要はありません。とはいえこういったコストはもちろん投資信託であってもファンドの運用手数料としてかかっており間接的に投資家が負担することになるので、一概に投資信託のほうが有利というわけではありません。一方でETFは1口(株)いくらかによって最低購入価格が決まります。1口が数百ドルのETFであれば、ある程度まとまった金額が最低購入金額として必要になります。

指値・成行注文の可否

投資信託は一日一回(休場時を除く)基準価額が変わりましてその価額で売買が可能です。一方で指値や成行注文といった概念はないので、イメージとしては成行注文のみとなる感じでしょうか。一方でETFであれば株式同様に指値注文はもちろん、より細かい注文が可能になりますので、デイトレーダーの方をはじめ、短期売買の方であればETF一択となるのでしょうか。

分配金の再投資

投資信託でもETFでも銘柄によって分配金を受け取ることができます。投資信託であれば予め設定しておけば自動で再投資が可能です。一方でETFは株式の配当金と同様にキャッシュを受け取る形になるので再投資はされません。長期投資をしていて、管理なし分配金の再投資を行いながら運用したいのであれば投資信託のほうが適しています。

手数料

買付手数料と売付手数料がまず各証券会社や銀行で違います。投資信託であれば更に商品によっても違ってくるでしょう。一方でETFは商品ごとに変わることはなく、証券会社ごとで売買に係る手数料は変わってきます。

また保有している間に間接的に負担することになる信託報酬ですが、こちらは同一の投資対象であればETFのほうが低いことがほとんどです。というのも日本の投資信託であれば、例えばS&P500などに投資するとなると、日本の投資信託を介して米国の投資信託へ投資することがほとんどで、間に数社入ったりすることでどうしても管理コストなどが上昇してしまうからです。一方でETFであれば直接投資可能なのでより低い経費率で運用が可能になります。

とはいえ少額の投資であれば誤差の範囲となるケースも多く、意識しすぎる必要はないかもしれません。

税制優遇制度

企業型確定拠出年金制度やiDeCoであれば投資信託のみが利用可能です。NISAについては一般NISAであれば投資信託でもETFでもどちらでも制度上対応しています。つみたてNISAについては、投資信託のみです。自身が活用している税制優遇制度に応じて選択すると良いでしょう。

結局、投資信託とETFのどっちにすればいいの?

投資家として結局投資信託とETFのどちらを選択したらよいのか?という話なのですが、ケースバイケースなためいくつかのケースで見ていきたいと思います。

積み立て投資目的の中長期的なインデックス投資

積み立て投資目的で中長期的にインデックス投資をしたい個人投資家の方は投資信託とETFのどちらを選択すればいいのでしょうか?インデックス投資ということで、S&P500や日経平均など王道な指数に連動するものであれば投資信託でもETFでもどちらも自分が求める運用戦略の商品は簡単に見つかるでしょう。

次にコストの観点を見ていきましょう。

投資信託であれば国内の販売会社から購入することになり、商品によりますが購入時に購入手数料がかかります。(一部ノーロードと呼ばれ、購入手数料がゼロのものも存在します。)また保有期間中に間接的に負担するコストとして管理費用や信託報酬があり、こちらは保有している限り永続的に負担することとなります。とはいえインデックス投資の商品性のものであれば1%を大きく下回る経費率となっていることがほとんどだと思います。

一方でETFであれば市場で購入することになります。もし米国市場で扱われているETFを購入する場合は為替手数料ならびに米国市場での売買手数料がかかってきます。これは証券会社によって違いますし、昨今は特にネット証券などでは手数料をだいぶ抑えてきており、特定の銘柄のETFであれば購入手数料がかからないという設定をしている証券会社も存在します。なおETFも投資信託同様に保有期間中は間接的に運用コストを負担することとなります。投資信託と違い間に販売会社を介さないため、経費率は投資信託より低いことがほとんどです。

中長期的な投資という条件でみると、運用戦略が同じ投資信託とETFで比較するのであれば、保有期間中の経費率が気になるポイントになるかと思います。経費率ではETFのほうが低い傾向にあります。ですので中長期的な投資を行いたいのであれば経費率の低いETFで運用をしたほうが有利になります。

短期売買目的の投資

今度は、短期売買を目的とした投資で使うケースを想定します。

まずデイトレーダーの方であればETF一択となります。というのも前述の通り投資信託は一日に一回しか値段が更新されないので一日の間に何度も売買することは不可能だからです。さらに、ETFであれば信用取引が可能になりますし、商品自体にレバレッジETFやインバースETFというものも存在します。

レバレッジETFは、市場指数の値動きを何倍にも増幅することができるため、高いリターンを狙うことができますが、同時に大きなリスクも伴います。

インバースETFは、市場指数の値下がりに反応して価値が上昇するため、市場が下落する状況での保険として活用されることがあります。信用取引制度を使わなくとも同じような動きをする商品を活用することが可能です。もちろん信用買い・売りを駆使しての取引も可能ですので、レバレッジを効かせることや、相場が急落することを見越して売りから入ることが可能となります。

そして指値での売り買いができるというのもポイントだと思います。ですので短期売買目的であればなおさらETFが選択肢としては優位に立つでしょう。

アクティブ運用で市場平均以上のリターンを追及する

アクティブ運用で市場平均を出し抜きたい、気に入ったファンドマネージャーが在籍する運用会社に投資したい、となると選択肢は投資信託となるでしょう。そもそもETFはまだまだ指数連動などのパッシブ運用がほとんどです。アクティブ運用のETFも出てきていますが、アクティブ運用を行いたいのであれば投資信託一択になるかと思います。また投資信託であれば間に国内の販売会社がいますので、目論見書などの資料も日本語でしっかり準備されているので運用戦略を理解するのも比較的容易です。

つみたてNISAやiDeCoなどを使って、少額や定額の積み立て投資を行いたい

投資信託とETFの違いに最低購入価格があります。ETFの場合は1口(株)あたりでの取引になるので、例えば先ほど挙げたSPDR S&P500 ETFであれば2023/4/18時点で約414ドルとなているので、日本円にすると56,000円に加えて購入手数料が最低でも必要となります。毎月5万円積み立てたいというニーズであれば予算オーバーで1口も購入できません。

一方で投資信託であれば毎月5万円分購入するということが可能ですので、こういった積み立て投資ニーズでは投資信託がベストです。また海外ETFなどはドルでの取引ですので、円からドルに両替する際に発生する為替手数料も考慮する必要があり、少額の投資を検討している投資家の方や、シンプルさを求める方であれば投資信託という選択になるでしょう。

またつみたてNISAであれば一応ETFの制度としては対応しているのですが証券会社で購入できる商品はおそらく投資信託だけかと思います。またiDeCoなら投資信託のみとなりETFは購入できません。ETFは最低購入価格の兼ね合いで少額の投資には向いていないこともあり、コツコツ投資の場合は投資信託となるでしょう。

まとめ

投資信託とETFのどっちがいいのという論争は今後も続くでしょう。歴史的にはETFのほうが新しいため、ETFはまだまだ進化中というイメージです。あと数十年もすればアクティブ運用のETFもたくさん登場して更に投資信託との差異が縮まる可能性があります。投資信託とETFのどちらを利用するにせよ、手軽に分散投資を行うことができます。投資家の皆様は自身の投資目的に合わせて投資信託かETFを上手く選択して、資産運用に活用していって欲しいと思います。

それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!

黒田太郎
執筆者
黒田太郎
ファイナンシャルプランナー
オーストラリアのLaTrobe大学でコンピューターサイエンスを専攻。卒業後日系メーカーに就職しタイ、シンガポール、台湾に駐在し通算13年の海外生活を経験後、退職しFP(ファイナンシャルプランナー)として活躍中。 一人でも多くの人の役に立つような情報、たまにちょっとニッチな情報と幅広く発信させて頂きます! 保有資格 AFP認定者、ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員一種、応用情報技術者
lascal