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2024.1.24

ヘッジファンドってなに?投資信託との違いを含めて、金融に精通した筆者がわかりやすく解説!

ヘッジファンドってなに?投資信託との違いを含めて、金融に精通した筆者がわかりやすく解説!
目次
01. 
ヘッジファンドとは?(言葉の意味や使い方など)わかりやすく解説します
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02. 
ヘッジファンドと投資信託の違いはなに?
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03. 
ヘッジファンドのメリットとデメリット
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04. 
ヘッジファンドへの投資はどのような人に向いている?
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05. 
SBI証券が大手資産運用会社マン・グループと合弁会社を設立。個人がヘッジファンドに投資しやすくなる?
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06. 
国内のヘッジファンド、海外のヘッジファンド
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07. 
まとめ
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ボンジョルノ!皆さん、こんにちは!

今回は久々にヘッジファンドについて取り上げてみたいと思います。投資経験が多少でもある方であれば「ヘッジファンド」という言葉自体は聞いたことがあるのではないでしょうか?では「ヘッジファンド」に投資したことがある人はどれだけいるでしょうか?「そもそもヘッジファンドってどうやって投資できるの?どこで投資できるの?」という方も多いのではないでしょうか。

そんな聞いたことはあるけど詳細は知られていないヘッジファンドについて今回は掘り下げていきます!

ヘッジファンドとは?(言葉の意味や使い方など)わかりやすく解説します

投資経験がある方であれば「ヘッジファンド」という言葉自体は聞いたことがあると思います。ヘッジファンドとは簡単にいうと特定投資家向けの「私募ファンド」となります。

今流行りのインデックス型ファンド(S&P500や日経平均に連動する投資信託)やアクティブ型投資信託は公募ファンドですので、我々も証券会社や銀行を通じて簡単に投資することが可能です。

一方でヘッジファンドとは「私募」であるため適格投資家(機関投資家や保有財産一定以上の投資家など)にしか通常対象にしておらず、それゆえに我々個人投資家はそのヘッジファンドという名前は聞いたことはあるけど、投資機会を持ったことがないという状況が作られています。

ヘッジファンドのヘッジには「垣」や「生垣で囲う」という意味があり、転じて「防護措置を講じる」や「賭けや事業で両方に賭けて防衛する」といった意味を持ちます。ヘッジファンドは相場の上げだけで利益を上げるわけではなく、下げの局面でも利益を上げるように運用する手法を取り入れており、どんな相場状況であっても利益を生むというスタンスで運用されています。

なお「公募」と「私募」の違いについてはこちらの記事で詳しく説明していますので是非ご参照ください。

「ヘッジファンドって私募ファンド?公募と私募の違いや特徴をわかりやすく解説」記事へのリンク

ヘッジファンドと投資信託の違いはなに?

公募投信と私募投信の比較表

ヘッジファンドと投資信託の違いは、簡単にいうと「公募」か「私募」かの違いとなります。ヘッジファンドは「私募」ですので、少人数の投資家を対象としています。それゆえに最低投資額も1億円や100万ドル以上で設定されていたり、資産規模で勧誘条件があったりしたりと、一般の個人投資家ではなかなか投資機会が得られないものとなります。

最近は、最低投資額が1,000万円や10万ドルという投資条件も出てきておりその限りではありませんがまだまだ一般層にはハードルが高いのが事実です。またヘッジファンドは常に募集が行われているものではなく、人気のヘッジファンドの場合、新規募集を行っていないものも多数存在します。どちらにせよ「私募」であるため「公募」の投資信託と違い、その情報の多くは一般に開示されません。

ヘッジファンドのメリットとデメリット

ヘッジファンドですが前述の通り「私募」ファンドのため情報はあまり表に出てきません。また一般投資家に対しても少人数の投資家を対象に募集するため、ヘッジファンドを取り扱う個人富裕層向けの証券会社等を介さないと投資機会を得ることは難しいでしょう。

ヘッジファンドのメリットですが、相場の上げはもちろん、下げの局面でも利益を追求しますし、また投資対象も株式や債券に限らず現物(貴金属や原油や穀物など)など幅広い商品も投資対象にしていますので、どんな市況であっても利益を追求することができます

リーマンショックなど激しい株式相場の下落の中でも、大きなパフォーマンスを残したヘッジファンドもあり、ヘッジファンドをポートフォリオに入れておくことで相場下落時にもダメージを軽減することや、むしろ資産を増やすといったことも可能になります。

そしてヘッジファンドのデメリットですがやはり「私募」であるため情報が不透明である点などがあります。投資情報や保有銘柄を開示してしまうとパフォーマンスに影響が出てしまうこともありますが、思った以上にパフォーマンスが出ていない場合は投資手法などに不安を覚えるケースも発生するでしょう。また経費率は高い傾向にあるため、あまりパフォーマンスが芳しくないヘッジファンドに投資してしまうと、経費負けしてしまい思うように利益がでない可能性もあります

ヘッジファンドへの投資はどのような人に向いている?

ヘッジファンドは「私募」であるため、機関投資家などに対してのみ募集されています。個人の方がヘッジファンドに投資されたい場合があるかもしれませんが、それでも資産としては数億以上の保有が必要になるケースが多いでしょう。というのもヘッジファンドは最低投資額が1億円や100万ドルとなっていることが多く、例えば投資ポートフォリオの20%をヘッジファンドに投資するとした場合は、金融資産で5億円以上は必要となってしまいます。

そのため現状では、ヘッジファンドは金融資産で数億円以上の方に向いているといえるでしょう。とはいえ後述しますが、SBI証券は大手資産運用会社のマン・グループと合弁会社を設立することを表明しており、近い将来に個人投資家の方もヘッジファンドに投資しやすくなる環境ができてくるのではないかと予期されます。

SBI証券が大手資産運用会社マン・グループと合弁会社を設立。個人がヘッジファンドに投資しやすくなる?

2023年7月19日にSBI証券はこのたび、当社は、ヘッジファンドを中心に先進的かつ革新的な運用戦略を提供する大手資産運用会社であるMan Group plc(本社:英国ロンドン、以下「マン・グループ」)と合弁会社を設立し、ヘッジファンドを含むオルタナティブ運用におけるマン・グループの豊富で多様なケイパビリティを活用した運用商品を、主に日本の個人投資家向けに提供していくことで基本合意しましたのでお知らせいたします。」と発表しています。

大手資産運用会社マン・グループとの合弁会社設立の基本合意に関するお知らせ(SBIホールディングス)|ニュースリリース|SBIホールディングス (sbigroup.co.jp)

またこの発表の中では、このたび新設する合弁の資産運用会社では、「オルタナティブ投資の民主化」を目標に掲げ、当社グループの持つインターネット金融の革新性とマン・グループの持つオルタナティブ運用における高度な運用力を融合することで、これまで主に機関投資家や一部の富裕層に提供されてきたオルタナティブ商品を、個人投資家向けに幅広く提供してまいります。」ともあり、ヘッジファンドを個人投資家向けに提供していくことが決まっているようです。

SBI証券はネット証券会社としてこれまでも日本の既存証券会社のビジネスの常識を覆してきており、昨今では日本株の取引手数料を無料化したり、外貨為替手数料の無料化したりなど業界をリードしており、SBI証券が近い将来ヘッジファンド投資の常識を覆す可能性は十分あります。現在でもヘッジファンド投資が1,000万円や10万ドルから可能にしている証券会社も一部ありますが、もしSBI証券がネット証券会社としてヘッジファンドを展開するとなると、最低投資額はかなり引き下がるのではないでしょうか?

なおマン・グループはロンドンを拠点とする大手資産運用会社であり、1783年に創業された歴史ある会社となり、現在はロンドン証券取引所にも上場する由緒ある企業です。SBI証券との合弁会社が今後展開するビジネスには注目です!

国内のヘッジファンド、海外のヘッジファンド

世界のヘッジファンド運用会社一覧

ヘッジファンドですがやはり海外の運用会社が歴史もあり有名です。上記は2023年のヘッジファンドの預かり資産規模順でトップ5を引用したものですが、ほとんど米国拠点の企業となっています。また前述のマン・グループは英国籍で、そして2位に位置しています。

(引用元:Largest Hedge Fund Managers 2023 | Pensions & Investments (pionline.com)

なお日本国内のヘッジファンドで有名なものは正直ありません。もちろん先ほどのランキングのトップ20に入っている企業もありません。世界のヘッジファンドに目を向ければ、トップにランキングしている会社はかなり有名な企業ばかりで信頼感が違います。

一方で日本国内のヘッジファンドは、まだ大手が参入しておらず現状はオススメできそうなものはありません。日本国内を投資先と考えた場合は、まずは投資信託で検討されることをオススメします。国内のヘッジファンドの場合はそもそも信用できるところなのか?金融庁にきちんと認可された法人なのか?などしっかり確認されることを推奨します。

不安であれば金融庁にきちんと認可されたIFAなどに相談してみることをオススメします。詐欺かどうかを判断するのは個人投資家には難しいケースも多々ありますので要注意です。

まとめ

これまでヘッジファンドについてみてきました。今までは機関投資家や富裕層に投資機会は限られていましたが、SBI証券が大手運用会社のマン・グループと合弁会社を設立することで、今後は個人投資家にもヘッジファンドへの投資機会が生まれる可能性が出てきました。

ヘッジファンドは「私募」であるが故に、個人投資家はそれが詐欺なのかどうか見極めるかが難しい状況もこれまでありましたが、大手金融機関が参入してくると安心してヘッジファンドに投資できるようになるかと思います。

また現状一部の証券会社でもヘッジファンドを取り扱っています。きちんと金融庁に認可された証券会社を介してであれば、ヘッジファンドへの投資は十分検討に値するかと思います。相場下落時のリスクを“ヘッジ”するためにもヘッジファンドを有効活用してください!

それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!

IFAとは? IFAを利用するメリットを解説の記事へのリンク
黒田太郎
執筆者
黒田太郎
ファイナンシャルプランナー
オーストラリアのLaTrobe大学でコンピューターサイエンスを専攻。卒業後日系メーカーに就職しタイ、シンガポール、台湾に駐在し通算13年の海外生活を経験後、退職しFP(ファイナンシャルプランナー)として活躍中。 一人でも多くの人の役に立つような情報、たまにちょっとニッチな情報と幅広く発信させて頂きます! 保有資格 AFP認定者、ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員一種、応用情報技術者
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