ボンジョルノ!皆さん、こんにちは!
大切な会社をどのように承継するかを考えることは、事業経営者にとって欠かせない問題です。事業承継は多くの経営者にとっては人生で何度も経験することではないですし、初めての場合、何をどうすればよいか手順が分からないのが普通だと思います。
適切に事業承継を行うことで、ご自身が大切に育ててきた会社の継続や会社価値の向上につながり、ご自身のみならず、そこで働く従業員の方々にとっても良い結果をもたらすことができるはずです。この記事では、主に中小企業の経営者様向けに事業承継の種類について解説します。
親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)について、それぞれのメリットやデメリットをご紹介します。事業承継の検討にあたり、どういった方法があるのかご参考になれば幸いです。
親族内承継とは
事業承継を考える時に、まずはじめに検討するのが親族内承継ではないでしょうか。これは親族関係にある者(多くはご兄弟やご子息、ご息女)が事業を引き継ぐ方法です。後継者に自社の従業員・役員として実務経験を積んでもらい、事業のノウハウを習得させた後に事業を引き継ぐことができるといった特徴があります。また、株式を引き継ぐにあたり、税制上のメリットもありますので上手く活用できれば魅力的な選択肢となっています。
親族内承継のメリットはいくつかあります。まず、親族間での承継であれば事業の価値観やビジョンを共有しやすく、親族同士の信頼関係があるため円滑なコミュニケーションが図られます。また、社内および取引先に受入れられやすいという点もメリットになると思います。特に、引き継ぐ前に次期代表候補となる親族の方に自社での事業経験を積んでもらうことで、よりその効果は高まるでしょう。
そして、株式の引き継ぎにあたり会社の株式価値が高額になる場合には、事業承継税制を活用することで相続税・贈与税の納税猶予ができます。さらに一定の条件を満たせば免除も可能なため、引き継ぎに際しての税金問題の負担が大きく軽減できます。(2027年12月31日までは特例措置として、贈与税・相続税ともに100%の猶予・免除がありますので、親族内承継を選択する場合には、ぜひ活用をおすすめします)事業承継税制については別記事で解説していきたいと思います。
一方で、デメリットとしては後継者になりうる親族がいない可能性が挙げられます。経営者としての能力や器がもし不足しているなら、親族への承継を強行してしまうことは社内や取引先からの信頼を失うリスクがあります。また、能力があっても親族が引き継ぎたくないという可能性もあるため、しっかりと時間をかけて取り組んでいく必要があります。
さらには、後継者以外の親族内のトラブルにも気をつけなければなりません。後継者には必然的に多くの資産が引き継がれることになります。そうすると、相続に関して他の親族からの反発があったりと、結果的に親族関係に不和が生じることも多々あります。
これらのデメリットを事前に防ぐためには、細心の注意が必要です。時間をかけて親族内でのコミュニケーションを大切にし、お互いの意見や考えを尊重しながら円滑な関係を築くことが大切です。また、親族間での役割分担を明確にし、それぞれの責任を果たすことが求められます。
後継者不在の問題に対しては、早い段階から次世代のリーダーを育成し、スムーズな引き継ぎができるように計画を立てることが重要です。また、親族内で適任者が見つからない場合には、無理に親族内承継を進めず他の方法を検討するため、外部の専門家や経営者に依頼することも検討するべきです。
さらに、親族内承継においては、適切な法務や税務対策を行うことが不可欠です。こちらも専門家のアドバイスを受けながら、事業承継に関する契約書の作成や相続税の申告などを適切に行うことが求められます。
従業員による承継とは
従業員承継は、社内の幹部として活躍していた役員もしくは従業員が引き継ぐという方法です。この場合、株式の引き継ぎに関しては後継者への売却というのが一般的になります。もし無償で引き継いでもいいということであれば、前述の事業承継税制(特例措置)も活用できます。
従業員承継のメリットとしては、実務および会社のことをよく理解している人を後継者として選抜できることが挙げられます。従業員はそれまでの職場環境に慣れているため、ビジネスプランを立てやすく、それまでの職場の状況を踏まえて経営を引き継ぐことができます。また、他の従業員からの反発も起こりづらいこともメリットとなります。
一方、デメリットとして後継者候補者が複数人いた場合、選ばれなかった人が不満を持ち離職してしまう可能性があります。また、株式の引き継ぎに関しては後継者への売却となりますので、会社の株価次第では後継者の方が買い取る際に多額の資金が必要になるため、従業員承継を考える場合には、この点も十分に考慮して準備していかなければなりません。後継者側の資金状況により従業員承継ができないことも多々あります。
M&Aとは
親族でも従業員でもなく、第三者への承継としては主なものとしてM&Aが挙げられます。前述の2つの方法が選択できない場合にはM&Aを検討することになるかと思います。廃業という選択肢もありますが、M&Aを選択することで従業員の雇用の継続もできますので、廃業を選択する前にはぜひM&Aを検討してほしいと思います。また、M&Aを選択する別の動機として、もっと自社事業の規模を拡大したいといった想いから自社事業とシナジーが期待できる事業の第三者に引き継ぐことで、規模拡大や他業種展開、新規事業獲得なども期待できます。
M&Aの種類としては、主に株式譲渡と事業譲渡の2種類あります。それぞれの詳細はまた別の記事で解説しますが、本記事では株式譲渡を前提にお伝えしていきます。
M&Aによるメリットの一つとして、株式を売却することで売却益をもらえることが挙げられます。会社の状況や価格交渉に依りますが、売却によりまとまった資金を得ることができるため、その後の生活にゆとりがもてます。また、前述のように自社事業とのシナジーが期待できる会社が買い手となることで、その後の事業拡大が期待できることもメリットになると思います。
一方でデメリットとしては、交渉がうまくいかずに希望額での売却ができない可能性があります。M&Aの仲介業者などで株価算定をしてくれたりはするのですが、株価算定はあくまで目安でしかないことを心に留めておいてください。最終的には、売却側と買収側で合意した金額となります。
やはり基本的には売却する側はより高く、買収側はより安くという思惑が働きますので、その交渉というのが必須となります。交渉に関しては自社の事業を継続しながら行っていくのは非常に負担が大きくなるため、ぜひM&AアドバイザーやM&A仲介業者などの専門家に依頼することをおすすめします。
まとめ
事業承継は、経営者にとって重要な課題であり、適切な方法を選択することが企業の継続や価値を維持・拡大していくことに影響を与えます。本記事では、親族内承継、従業員承継、第三者承継(M&A)の方法を解説し、各方法のメリット・デメリットについても説明しました。
本記事が初めて事業承継に取り組む方にも分かりやすく、適切な選択をサポートできる参考資料となれば幸いです。
それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!