ボンジョルノ!皆さんこんにちは!
今回は債券投資の話題について触れていこうと思います。皆さんはシニア債という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これからシニア債・メザニン債・ジュニア債といった債券用語について解説していきたいと思います。
債券投資って何?という方はこちらの記事も是非ご参考にしていただければと思います。
シニア債、メザニン債、ジュニア債とは?
シニア債、メザニン債、ジュニア債という言葉ですが、これは債券の弁済順位に応じたリスク度合いを表す言葉となります。弁済順位とは元本や利息の支払い順位のことを意味します。
例えば発行体がデフォルト(債務不履行)となった場合は、元本についてはこの弁済順位に従って弁済順位が高い順に返済されます。シニア債(優先債)が一番弁済順位は高く、万が一発行体がデフォルトとなった場合でも弁済順位が高いため、投資したお金が返ってくる可能性が高いです。そのためシニア債は相対的にリスクの低い債券となります。その分利回り(リターン)も低く設定されるのが通常です。
一方でジュニア債(劣後債)は一番弁済順位が低く、万が一発行体がデフォルトとなった場合は弁済順位がシニア債より低いため、元本が返ってくる可能性は低くなります。そしてその分利回りは高くなっています。そしてメザニン債はこのシニア債(優先債)とジュニア債(劣後債)の中間という意味となります。
シニア債 vs ジュニア債 リスクや条件について(優先債 vs 劣後債)
シニア債やジュニア債という言葉を使う場合は債券の弁済順位のことを指していることは前述した通りです。シニア債は優先債や普通社債とも呼ばれ、万が一発行体が債務不履行(デフォルト)となった場合でも元本が返済される可能性が高いです。
上記イラストをみてみましょう。もし発行体が債務不履行(デフォルト)となった場合は、発行体は保有資産をすべて現金化して債務者に返済していくことになります。債務不履行を起こしているわけですから会社に現金がほとんどない状態が一般的になりますが、それでも企業であれば製品や設備や建物や土地を持っていたりしますので、そういったものを売却してすべて現金化します。そのあとに弁済順位に従ってその現金を債権者に返済していくことになります。
シニア債は優先債と呼ばれることからわかるように、弁済順位は一番高いので元本が一部もしくは全て返済される可能性が高いです。もしシニア債保有者へ返済した時点で現金がなくなれば、メザニン債やジュニア債(劣後債)を保有する債権者には一切返済されないこととなります。そのためリスクリターンはジュニア債、メザニン債、シニア債の順番で低くなっていきます。
なお投資の場面では、社債投資の場合はシニア債という言葉を使うことはありますが、ジュニア債やメザニン債と呼ばれることは少ない印象です。なおシニア債は普通社債や優先社債と呼ばれることが多く、ジュニア債は劣後債と呼ばれることが多いです。シニア債、メザニン債、ジュニア債という分類の場合は、資産担保証券(ABS)のことを指している場合が多いと思いますので、実際どういったものに投資しようとしているかを確認しておいたほうがよいでしょう。
個人投資家の方にとってはシニア債、メザニン債、ジュニア債という分類よりも、普通社債や劣後債といった言葉のほうが馴染みあるかと思います。なおこういった債券の種類についてはこちらの記事も是非参考にしてみてください。
資産担保証券(ABS)について
資産担保証券(ABS Asset Backed Securities)とは、担保資産を裏付けに発行された証券となります。資産担保証券(ABS)では個人の自動車ローンや消費者ローンや住宅ローンといった債権を証券化することができます。個人のこうしたローンは個別で債権を証券化して売買することは規模が小さすぎることもあり不可能ですが、数多くの細かな債権を混ぜることで資産担保証券(ABS)が作成可能です。
そしてこの資産担保証券(ABS)を複数分割して、格付けに応じて束ねなおして証券化したものを債務担保証券(CDO)と呼びます。このCDOから、弁済順位をつけて分割した際にも、弁済順位が一番高いものをシニア債、中間をメザニン債、そして一番低いものをジュニア債と呼びます。資産担保証券(ABS)には債務担保証券(CDO)や不動産担保証券(MBS Mortgage Backed Securities)といったものがあります。
リーマンショックの引き金となったサブプライムローン問題の原因となったのも、この資産担保証券の一種である不動産担保証券です。不動産担保証券の場合は、個人の住宅ローンの債権(抵当権)を数多くまとめて証券化して生成します。このままでは債券格付けは低いため、機関投資家が投資できるように、不動産担保証券を更に弁済順位で分割して、シニア債、メザニン債、ジュニア債とすることでシニア債には高格付けを与えることができるという仕組みになります。
資産担保証券(ABS)や債務担保証券(CDO)、不動産担保証券(MBS)など様々な金融商材が作られていますが、こうした債券については非常に複雑であり、リーマンショックの結果をみれば大手銀行などの機関投資家でさえも当時はリスクを正しく精査できていなかったわけなので、こういった証券への投資は慎重に判断する必要があるでしょう。
シニア債(優先債)、ジュニア債(劣後債)の利回りの違いについて
ここでは普通社債におけるシニア債(優先債)とジュニア債(劣後債)の利回りの違いについて触れておこうと思います。シニア債(優先債)は前述の通り弁済順位が高く、発行体が債務不履行となった場合でも、元本の一部もしくは全てが返ってくる可能性が高いです。
通常の債券投資においては、シニア債でも無担保社債として発行されるため、どんな場合でも必ず元本の一部が返ってくる確約はありませんが、多少なりとも資産を保有している発行体に対してであれば比較的安心して投資することができるでしょう。ゆえにシニア債への債券投資の利回りは相対的に低くなります。
一方でジュニア債(劣後債)の場合は、弁済順位が低いため、発行体が債務不履行となった場合に元本の一部が返ってくる可能性はかなり低くなります。そのためジュニア債(劣後債)への投資リスクは高くなりますが、その分利回り(リターン)は高くなります。
なおこのシニア債とジュニア債の利回りについてですが、同一の発行体の場合での相対的な利回りの違いを表しています。そのためシニア債だからローリスクだ、ジュニア債だからハイリスクだと短絡的にならないように注意しましょう。当然発行体の信用度合いが債券利回りに大きく影響を与えますので、まず発行体を見極めたうえで、その発行体のシニア債(普通社債)に投資するのか、もしくは利回りを求めてジュニア債(劣後債)に投資するのかを判断したほうがよいでしょう。
まとめ
今回はシニア債、メザニン債、ジュニア債という言葉を説明してきました。シニア債、メザニン債、ジュニア債は弁済順位のことを表しており、弁済順位が低くなるにつれてハイリスク・ハイリターンへとなっていきます。
シニア債は優先債とも呼ばれ、発行体が債務不履行(デフォルト)となった場合でも優先的に返済される一方で、ジュニア債は劣後債とも呼ばれ、発行体の保有する資産規模によっては、元本毀損が発生する可能性が高い投資対象となります。その分、利回りはシニア債(優先債)のほうが低く、ジュニア債(劣後債)のほうが通常高くなります。
メザニン債はこのシニア債とジュニア債の中間に位置すると理解しておけばよいでしょう。個人投資家の方の場合は債券投資の場合は国債や社債を投資対象にすることがほとんどだと思いますので、メザニン債という言葉を使う場面はほとんどなく、おそらくシニア債(優先債や普通社債)やジュニア債(劣後債や永久劣後債)といった社債への投資機会に限られるでしょう。
またもしシニア、メザニン、ジュニアという3つの言葉がでてきた場合には、資産担保証券(ABS)や債務担保証券(CDO)のことを指している可能性もあります。こうした証券は非常に高度で複雑な構造になっている可能性が高いので、しっかり投資対象を精査した上で投資判断を行うように注意しましょう。
それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!
劣後債と一言でいっても様々なタイプの債券が存在します。AT1債についてはこちらの記事を是非読んでみてください。債券投資への理解がより深まるかと思います。
☑️AT1債とは?AT1債やBⅢT2債についての解説記事となります。債券投資にご興味がある方や、AT1債やBⅢT2債についての理解を深めたい方は是非お目通しください✅https://t.co/1aM0wyENSr
— 株式会社ポンデア (@pondea_inc) November 13, 2023