ボンジョルノ!皆さんこんにちは!
突然ですが、債券のロールダウン効果(Roll-down return)について聞いたことはありますでしょうか?通常であれば、債券利回りは長期債のほうが高く、短期債のほうが相対的に利回りは低くなっています。現在は、逆イールドカーブ状態なので逆の状況になっていますが、通常のイールドカーブの状態であれば、債券のロールダウン効果により長期債を購入することで運用パフォーマンスを高めることが可能です!そのロールダウン効果について今回はみていきたいと思います。
そもそも債券って?債券投資とは?という方は以下の記事を是非ご参考にしてください。
イールドカーブとは?
債券のロールダウン効果についての説明の前に、ロールダウン効果を解説するにあたって重要なキーワードとなる「イールドカーブ」とは?についてですが、イールドカーブとは、債券利回りと年限(残存期間)の相関性を示したグラフです。横軸が残存期間、縦軸が利回りとなり、年限(残存期間)の違いによる債券利回りの関係性を表した曲線グラフとなります。
通常債券利回りは年限が短くなるほど(左側ほど)利回りが低くなります。つまり債券価格は上昇します。そして年限が長いほど(右側ほど)利回りは高くなります。つまり債券価格は低くなります。この理由ですが、債券保有者は、期間中ずっと発行体リスクや市場リスクなど不確実性へのリスクを負うことになるからです。当然満期償還までの期間が長ければ長いほど不確実性リスクに晒されることになるため、長期債ほど割安となりその分債券利回りは高くなります。
逆イールドカーブとは?
イールドカーブに対して、逆イールドとは先ほどのイールドカーブと逆に、短期債のほうが長期債より利回りが高い状態を指します。景気減速などが見込まれ将来的に金利が下がることが見込まれている場合や、金融政策により短期金利が急騰している状態などで発生する特殊な状況となります。2023年8月24日現在米国債は逆イールドとなっており、短期債の利回りが長期債を上回る状態となっています。現在FRBが対インフレ策として、金融引き締めを強めており利上げを進めています。そのため短期債中期債は利上げを織り込んで債券価格が下がり、利回りが上がります。とはいえ10年以上先も利回りが続くことは想定し難いのと、利上げの結果景気後退すればFRBは利下げに転じる可能性が高くなるため、長期債の債券価格はそれほど下がらず利回りは相対的に高くなるため、この逆イールド状態が出現します。
債券のロールダウン効果とは?
債券のロールダウン効果とは、順イールドカーブの状態で債券を保有し続けることで債券価格が上昇することで売却差益(キャピタルゲイン)を得られることを指します。順イールドカーブの状態かつ、イールドカーブの傾きに変化がない場合、債券を保有し続け残存期間が短くなると債券価格が上昇します。順イールドであれば、長期債ほど利回りが高く(債券価格は相対的に低い)、短期債ほど利回りが低い(債券価格は相対的に高い)と前述いたしました。そのため長期債を保有し続け、その残存期間が短くなって短期債となった場合は、債券価格は相対的に高くなるわけです。つまり債券保有者は保有期間中の不確実性リスクを乗り越えたあかつきには、保有債券はより価格の高いものとなっているということになります。その債券を満期まで保有するのではなく、満期前に売却することで割高で売却することができ、売却差益(キャピタルゲイン)を得ることができます。イールドカーブの傾斜が急なほど、短期債と長期債の利回りの差が大きいことを意味するので、キャピタルゲインはより大きくなります。
債券のロールダウン効果の具体例
ではロールダウン効果の具体例をみていきましょう。わかりやすく利金の発生しない割引債を例にします。仮に残存期間10年の割引債の利回りが4.0%(債券単価67.56)だとして、3年保有後の残存期間7年となった場合は債券単価78.60(利回り3.5%相当)で売却することが可能となります。この場合単利利回りは約5.4%となります。(満期まで保有した場合の単利利回りは約4.8%に止まります)。このように年限の長い債券を購入して保有し続けるとして、イールドカーブに変化がなければ満期まで保有するのではなく途中売却することでパフォーマンスを高めることができます。
逆イールドカーブだと債券のロールダウン効果はどうなるの?
さて、債券のロールダウン効果ですが順イールドカーブの状態であれば債券保有者の投資家にとってプラスに作用しますが、逆イールドの場合はどうでしょうか?
逆イールドの場合ですと、債券の残存期間が短いほど利回りが高くなる、つまり債券価格は下落するため、保有債券を満期償還前に売却してもキャピタルロスが発生しパフォーマンスが下がることになってしまいます。逆イールドカーブ状態であればロールダウン効果は期待できないので満期まで保有するなどの戦略となるでしょう。ただし逆イールドカーブの状態が長期的に常態化することは想定し難いため、債券投資においては、いつかは順イールドカーブに戻るという前提で臨むほうが現実的かと思います。
まとめ
債券投資において、債券価格と利回りは表裏一体のため金利・利回り動向には常に注視する必要があります。順イールドカーブ状態であれば長期債を保有し続けて途中売却することで利金(インカムゲイン)だけでなく売却差益(キャピタルゲイン)も得ることができ、パフォーマンスを高めることが可能です。株式と違って債券には満期や残存期間という概念があるところが醍醐味といえるでしょう。是非ご自身のポートフォリオに債券を加えることも検討してみてください。また債券投資についてご興味がある方は是非別記事も参考にしていただければ幸いです!
それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!