ボンジョルノ!皆さん、こんにちは!
今回は、デリバティブ取引について取り上げたいと思います。仕組債の場合は、債券とデリバティブ取引を組合せてパッケージ化した商品であり、仕組債のリスク・リターンや商品性をみようとするとデリバティブの中身への知識が必須となります。また投資家の皆さんも先物取引や差金決済(CFD)などのデリバティブ取引を活用し、収益機会を狙っています。投資選択肢の幅を広げるためにも、是非デリバティブ取引について理解を深めていってくださいね!
デリバティブ取引とは?
本来の英語のDerivativeには派生する、派生、といった意味がありまして、金融用語では「金融派生商品」と訳されます。具体的には以下のような取引がデリバティブと定義されます。
先物取引
特定の商品を、将来のあらかじめ決めた期日に、現時点で取り決めた価格(約定価格)で売買することを契約する取引です。ようするに特定の商品を将来売買する約束を売り買いします。将来の価格を予想して利益をあげることもできますし、例えば事業で石油を大量に使う企業などがあれば、現時点で先物で購入しておくことで、将来原油価格が大きく上昇して調達価格が上がってしまうリスクをヘッジすることができます。
例えば先物取引では1年後の原油や金を現時点で売買することができます。日本では大阪取引所と東京商品取引所で取引されており、金や原油はもちろん、日経平均やTOPIXといった株価指数の先物取引も扱っています。
オプション取引
特定の商品を将来のあらかじめ決めた期日までに、特定の価格(権利行使価格)で買う権利または売る権利を、売買する取引です。一見先物取引と何が違うのかと思うかもしれませんが、先物取引は特定の期日での売買を行う約束を先にしていますが、こちらは特定の期日”まで”の間に特定の価格で買う/売る権利のやり取りとなります。なので権利行使しなくても問題はないのです。
先物取引とオプション取引の違い
先物取引は、将来売買を行うことをあらかじめ約束する取引です。一方でオプション取引は、将来売買する権利をあらかじめ売買する取引です。オプション(選択肢)という意味からわかるように、あくまで権利行使するかしないかは別の話です。
オプション取引は例えば「来年の今日までに、株式Aを1万円で買う権利を100円払って購入する」といった取引内容になります。一方で先物取引の場合は「来年の今日に株式Aを1万円で買いますという約束をする」といった取引内容になります。オプション取引であれば「株式Aを1万円で買う権利」、「1万1千円で買う権利」、「1万2千円で買う権利」といったように権利行使価格によって権利の価格(プレミアム)は変わります。一方で先物取引は、「来月の価格」、「再来月の価格」など期日ごとに先物価格が違うというようになっています。
特定店頭デリバティブ取引
大阪取引所などで取り扱うデリバティブ取引を「市場デリバティブ取引」と呼びます。市場を介さずに当事者同士で直接条件を設定し行うデリバティブ取引を「店頭デリバティブ取引」と呼びます。日本では店頭デリバティブ取引の規模は、市場デリバティブ取引を大きく上回っていますので主流としては、店頭デリバティブ取引となります。なお”特定”店頭デリバティブ取引は、この店頭デリバティブ取引のうち有価証券関連のデリバティブ取引や通貨・金利の先渡取引・オプション取引を除いたもので、金利・通貨スワップ取引、クレジット・デリバティブ取引、天候・地震デリバティブ取引などが該当します。
天候・地震デリバティブ取引は、異常気象や地震が発生した場合に支払いが発生するため、イメージは損害保険となります。また特定の企業が破産した場合に損害を補償するような取引もありますので、こちらも保険というイメージで理解するとよいでしょう。皆さんが保険に入るとき、当然毎月や毎年保険料を払うと思います。保険料は英語でPremium(プレミアム)といいます。デリバティブ取引でも買い手はプレミアムを支払い、売り手はプレミアムを受け取ります。
差金決済(CFD)
Contract For Differenceの頭文字をとってCFDと呼ばれます。通常の現物取引であれば例えばある金融商品を100万円で購入して、110万円で売却し10万円の差額収益を得ようとすると、手数料等を除いても原資として最低100万円が必要になります。一方でCFDは差金決済といわれ、取引開始時と終了時の価格差により決済されるため、原資として100万円用意する必要がなく、証拠金という形で一定額をいれておけば取引が可能になります。
例えばですが証拠金率10%でよいという取引の場合は、原資が100万円あれば1000万円(1000万円の10%にあたり100万円を証拠金とするため10%となる)の取引が可能になります。購入時の約定価格が100万円で、決済時の価格が110万円であれば100万円の利益を取得することができます。これにより少ない資金で大きな金額の取引が可能となりレバレッジを効かせて資金効率のよい投資が可能となるわけです。
スワップ取引
スワップは「交換」という意味があり、あるものの特性とあるものの特性を交換する取引となります。具体的には、金利スワップや通貨スワップなどが存在します。
金利スワップ
同じ通貨で異なる金利を交換する取引となります。変動金利と固定金利の交換などが該当します。例えばですが変動金利が今後下がっていくと考える不動産投資家Aさんと、変動金利が今後上がったら困ってしまう不動産投資家Bさんがいるとします。このAさんとBさんが金利スワップ取引をするとします。こうすることで変動金利が今後下がるため変動金利のほうが有利だと考えるAさんは、Bさんに変動金利を支払います。そして変動金利が今後上がるから現時点の固定金利のほうが有利だと考えるBさんは、Aさんに固定金利を支払います。このような金利スワップ取引をすることで両者のニーズを満たすことができます。
不動産業者Aさんは、変動金利が今後下落するので今抱えている固定金利のローンを将来支払っていくよりも、変動金利に変更してしまったほうがお得だと思っています。
不動産業者Bさんは、変動金利が上昇したら嫌なので今抱えている変動金利のローンを将来支払っていくよりも、現時点の固定金利で抑えて将来支払う利息を固定したいと考えています。
この両者の思惑が一致し、金利スワップ取引が成立するわけです。
通貨スワップ
通貨スワップでは、例えば日本円と米ドルといった異なる通貨間で将来の金利と元本を交換する取引となります。これは異なる通貨のニーズがある2社で取引が成立します。例えば米ドルを調達したい日本企業C社と、日本円を調達したい米国企業D社が存在するとします。日本企業C社が日本で外貨である米ドルを調達しようとすると、通常はアメリカ国内で調達するより金利などの調達コストが高くなります。また同様に米国企業D社がアメリカ国内で外貨である日本円を調達しようとすると金利等の調達コストが高くなります。
ここで、日本企業C社は日本国内で100億円を調達します。そしてアメリカ企業D社はアメリカ国内で1億ドルを調達します。そしてこの100億円と1億ドルを2社間で通貨スワップします。そうすることで日本企業C社も米国企業D社も安価に外貨資金を調達することが可能になります。
なお元本と金利をスワップする取引のため、日本企業C社は米ドル元本1億円と金利等の米ドル調達コストの支払いが必要で、米国企業D社は日本円元本100億円と日本円の調達コストの調達が必要となります。
まとめ
さて今回はデリバティブ取引について解説してきました。デリバティブ取引ってなんだかヘッジファンドや機関投資家が利用する特殊な取引のようなイメージだった方も多いのではないでしょうか?実際のところは、企業活動などで活用されており、例えば航空会社であれば原油価格があまりに高くなりすぎると業務に支障がでるため、リスクヘッジとして原油先物取引を行って事前に将来の調達価格を抑えておくことも可能です。またグローバル企業同士で色々な通貨の資金需要があれば通貨スワップなどを使ってローコストで外貨調達ができるケースもあるでしょう。そういった意味ではデリバティブ取引は企業活動ひいては我々の生活にも間接的に影響があるんだなと、少しでも親近感を持っていただければ幸いです。
それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!