ボンジョルノ!皆さんこんにちは!
債券や株式などの有価証券への投資は非常に知名度の高い投資資産クラスかと思いますが、皆様は「オルタナティブ投資」はご存じですか?オルタナティブは英語のAlternative(代替の、代わりの)という言葉からきていまして、要するに債券や株式といった伝統的資産に”代わる”資産クラスへの投資という意味です。ハーバード大学などでもオルタナティブ投資を行っています!オルタナティブ投資について今回は解説していきます!
オルタナティブ投資とは?
我が国の年金マネーを運用するGPIF(Government Pension Investment Fund)は世界最大規模の投資ファンドです。年金積立金管理運用独立行政法人と呼ばれ、約190兆円の運用を行っています。このGPIFでもオルタナティブ投資をしているんです。GPIFのホームページではこう説明しています
”オルタナティブ資産とは伝統的な投資対象資産である上場株式、債券に対する「代替的(オルタナティブ)」な投資資産の総称です。オルタナティブ資産は、伝統的な投資対象である上場株式、債券とは異なるリスク・リターン特性を有しており、ポートフォリオに組み入れることにより運用の効率性の向上及び年金財政の安定に寄与する効果が期待できます。また、一般的にオルタナティブ資産は、伝統的資産に比べて流動性が低い一方、その分利回りが高いとされています。GPIFは長期の投資家であり、豊富な流動性資産を有していることから、あえて流動性の低いオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れることで、投資ポートフォリオの効率性を向上しつつ超過プレミアムを獲得することを目指しています。”
オルタナティブ資産の運用とは|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)より引用。
ということでGPIFの解釈としては、上場株式や債券以外の投資対象と定義しています。株式や債券の値動きと違う方向性をもった投資対象かつ、流動性を犠牲に更なる運用利回りを追及することができる投資対象先という感じでしょうか。
GPIFのオルタナティブ投資
引き続きGPIFのホームページから引用していくとこう続きます。
”海外の年金基金では、このような特性・効果をもつオルタナティブ資産の運用を行うことによる分散投資を推進しています。2020 年度から始まったGPIFの第4期中期計画では、資産全体の5%を上限にオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、不動産)の運用を行うこととされています。オルタナティブ資産の運用は個別性が強く、また、流動性の低さからも投資評価時及び投資実行後のリスク管理は重要な課題であり、引き続きリスク管理を含めた運用体制の強化に努めていきます。”
GPIFもオルタナティブ投資をしているんですね。資産全体の5%を上限ということで現在約190兆円の運用規模なのでざっくり10兆円くらいまではオルタナティブ投資を使っていくね。という宣言をしています。またGPIFのオルタナティブ投資における投資対象は、インフラ、プライベート・エクイティ(非上場株式)、不動産という説明になっています。
上記チャートも先ほどのオルタナティブ資産の運用とは|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)より引用させて頂きました。GPIFにおけるオルタナティブ資産運用は既にGPIFでは2兆円規模の運用になっています。内訳としてはインフラと不動産が多いですがそもそも運用規模が大きいので、絶対数でみるとどの投資対象先もそれなりの規模になっています。実際の運用としてはファンド経由でインフラ、プライベート・エクイティ(非上場株式)、不動産に投資をしています。巷ではオルタナティブ投資といってワインやウィスキーなどの現物への投資を勧誘している企業もありますが、GPIFなどにおけるオルタナティブ投資はもっと堅実な投資対象先だということがわかります。
なおアメリカのハーバード大学の寄付基金も大学の運用ファンドとしては世界最大規模であり500億ドルを超える運用規模となっていますが、こちらは半分以上をヘッジファンドやプライベート・エクイティ(非上場株式)といったオルタナティブ資産に投資しています。規模の差があるとはいえ、ポートフォリオのかなりをオルタナティブ資産が占めているのがハーバード大学の寄付基金の特徴です。
オルタナティブ資産の例
ではGPIFやハーバード大学の寄付基金などが行うオルタナティブ投資について解説していきましょう。機関投資家以外でも投資対象となりえるのか?という視点でもみていきたいと思います。
インフラ
太陽光や風力発電といった再生可能エネルギー、石油などのパイプライン、鉄道そして通信といったインフラ事業への投資となります。インフラは長期間にわたり人々に使われるため、こうした事業への投資を通じて長期にわたり利用者からの使用料などの収入を原資に、配当を得ることができます。配当金に加えて、最終的に他の投資家への事業売却を通じて投資資金の回収となります。インフラへの投資はなかなか個人投資家には難しいかもしれません。
それこそ太陽光発電への投資など流行っていますが、GPIFなどが投資対象にしているインフラ事業は個人が投資するものとは性質が少し違うかと思います。個人で特定のインフラ事業へ投資するのは少々ハードルが高いですが、例えば商社などインフラ事業への投資を行っている企業の株式へ投資したり、もしくはそういった銘柄がパッケージされたインフラファンドと呼ばれるような投資信託に投資することで個人でも同様のポートフォリオを作ることは十分可能です。
不動産
これはわかりやすいかと思いますが、オフィスビルや住宅などの不動産への投資となります。不動産投資ですとオフィス賃料や家賃収入からくるインカムゲインと、不動産の売却益からくるキャピタルゲインがリターンとして発生します。
GPIFなどが重視しているのはインカムゲインとなりますので、賃貸住宅やオフィスそして物流センターなどへの投資だったり私募REITへの投資を行っています。個人投資家であってもマンションやアパート等を使った不動産投資は可能ですし、手軽な方法でいえば小口投資やREITを通じても投資可能であり、ポートフォリオへ組み込むのも比較的容易でしょう。
ヘッジファンド
ハーバード大学の寄付基金ではヘッジファンドへの投資が大きな割合を占めています。ヘッジファンドの場合は、運用方針次第で様々なものにファンドマネージャーが投資していきます。信用取引などを駆使することで絶対収益型といわれるような相場が下落している場合でも利益をあげることを目指して、市場平均を常に上回るようにしています。
投資対象は株式や債券に限定されず、穀物や原油などの先物だったり、金をはじめとした貴金属への投資も行っており、多種多様な投資対象を組み合わせて運用するファンドなども存在します。ヘッジファンドは基本的に少人数の投資家のみを対象にする私募ファンドであるため、個人投資家が気軽に投資するのは難しいパターンが多いです。また最低投資額も1000万円以上必要であるケースがほとんどですので個人投資家の場合はある程度の運用規模でないと投資対象にはできないでしょう。とはいえ、1億円を越えるような運用規模であればヘッジファンドを自身のポートフォリオに組み込むことは理にかなっています。証券会社では難しいケースもありますが、複数の証券会社に所属するIFAなどに相談してみることで、しっかりしたヘッジファンドを紹介してもらえるケースがあります。
プライベートエクイティ(非上場株式)
プライベートエクイティは、PEとよく略されます。未上場株式へ投資するファンドのことをPEファンドと呼びます。GPIFのホームページから引用するとPEファンドの投資手法は以下のようなものが挙げられます。
“PEファンドの投資手法には、バイアウト(投資実行後に投資先企業の経営改善やガバナンスの向上等を通じて企業価値を高めようとするもの)、グロースエクイティ(事業拡大期の企業に成長資金を供給するもの)、ベンチャーキャピタル(成長が見込まれる新興企業等を投資対象とするもの)、ターンアラウンド(経営不振企業の債務のリストラクチャリング等を行うもの)、プライベート・デット(非上場企業が発行する債券や非上場企業に対するローン等への投資)な新しいビジネスを立ち上げる企業や、成長中の中小企業に対して資金を提供する投資です。”
こういった投資手法を駆使し、未上場株式会社への投資を通じて利益の獲得を目指します。個人投資家が非上場株式へ投資するのは危険もつきまといます。というのも機関投資家と違って自身で投資先の精査を行うことが困難ですし、そもそも個人投資家に有望な非上場株式投資の話がくることはあまり考えられません。個人投資家が非上場株式へ投資することを考えた場合は、PEファンドに投資するという選択肢になるかと思います。こちらも私募となっているケースが多いため個人投資家が自身で調べて投資するのはハードルが高いですが、IFAなどに相談してみると一定額以上投資できるようであればPEファンドへの投資の提案も可能なケースがあります。
オルタナティブ投資は誰でもできるの?
オルタナティブ投資ですが一定以上の資金力があれば投資可能となります。とはいえ商品によっては最低投資価格が1億円もしくは100万ドルだったりするので誰でもできるわけではありません。大学や企業での運用という規模であればオルタナティブ投資もポートフォリオの一部に加えてみるのもパフォーマンスの安定化という観点でも検討に値するのではないでしょうか。また個人投資家であっても億以上の運用であれば、昨今は最低投資価格が1000万円もしくは10万ドルのヘッジファンドも出てきていますので、商品によっては検討可能だと思います。「誰にでもできるわけではない。」というのが回答になってしまいますが、逆に運用資金が一定額以上であれば検討してみるとよいかもしれません。
まとめ
こうして見てきた通りオルタナティブ投資は個人投資家にはハードルが高いものも存在しますが、ある程度の運用額になってきた場合は自身のポートフォリオに組み込むことを検討してもよいかもしれません。オルタナティブ投資はGPIFやハーバード大学の寄付基金も活用していますので、決して怪しいものではありません。とはいえ公開されている情報が上場株式などに比べて圧倒的に少ないので目利きも難しいです。
またオルタナティブ投資という言葉を使って、よくわからないものへの投資を促してくるケースもあるかもしれません。決して「オルタナティブ」という言葉だけで判断せずに投資対象や投資手法、そして運用会社などを精査するようにしてください。是非複数の証券会社に所属するIFAなどに相談してみてください。こういったオルタナティブ資産も含めたポートフォリオの構築を手伝ってくれることでしょう。
それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!