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2023.4.25

外国株式投資の基本と銘柄選定のポイント

外国株式投資の基本と銘柄選定のポイント
目次
01. 
外国株を買う前に、やっておきたい3つの分析
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02. 
外国株投資における注意点
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03. 
外国株を選ぶ際に押さえておきたい4つのポイント
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04. 
まとめ
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ボンジョルノ!皆さんこんにちは!

今回は、外国株式投資についてお話したいと思います。一昔前と違って外国株式への投資もだいぶ行いやすい環境が整ってきています。特に米国株への投資はかなりメジャーになってきているのではないでしょうか。株式投資という意味では国内株式でも海外株式でも本質は同じです。とはいえ国内株式との違いもありますので、具体的な事例も含めて説明していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。

外国株を買う前に、やっておきたい3つの分析

分析ってめんどくさい…と思っているあなた!

国内株式と違って外国株式が難しい背景に取得できる情報の格差があります。国内株式ですら日経新聞を毎日読んだとてすべての銘柄の関連情報を得られるはずがありません。そもそも毎日新聞を読んだりネット記事を漁ったり分析するのが面倒と思う方は、外国株式の個別銘柄への投資は止めたほうがいいかもしれません。

昨今流行りのインデックス投資のように、S&P500連動の投資信託やETFなどを介して市場全体を買っていくような分散投資であれば初心者であっても外国株式を投資対象にしても問題ないと思います。ただし個別銘柄への投資で外国株を選ぶのであれば、外国株式市場の特性を理解し、自分に合った投資戦略を立てることが大切です。市況やトレンドの変化に柔軟に対応できるように、定期的に情報収集を行い、分析スキルを磨くことが成功への鍵となります。

また、自分の投資スタイルに合った情報収集方法や分析ツールを見つけることも重要です。例えば、日々のニュースや専門誌を読むことで、タイムリーな情報を得ることができますし、インターネット上のフォーラムやSNSを活用すれば、他の投資家からの意見や情報も参考にすることができます。とはいえ英語は必須でしょう。日本語で一次情報が出ることはないと思ったほうがよいです。日本語になっている時点でタイムラグや情報の欠落が発生します。ある企業の悪い情報を日本語で知ったときには、既に株価が大きく動いた後だったということがほとんどでしょう。

有料の投資情報サービスとして、ブルームバーグといった情報端末を個人投資家の方でも使うケースはありますが、デイトレーダーの方や終始相場に張り付いている方でない限りは無駄な出費に終わってしまうと思います。情報の信憑性やコストを考慮し、自分に合ったサービスを選ぶことが重要です。

外国株式市場への投資においては、他の個人投資家や機関投資家を出し抜くのは相当ハードルが高いです。また新興国であればインサイダー取引といった怪しい取引への規制も不十分だったりしますし、税制も考慮する必要があったりします。そして為替変動や政治リスクなど、より複雑な要因が絡むこともありますが、それだけに大きなリターンも期待できる場合があります。外国株式市場ならではの難しいポイントが多いので注意が必要です。

1.直近の市況やトレンドを確認しよう

外国株を選ぶ際、まずはその国の市況やトレンドをチェックしましょう。例えば、アメリカでは大手IT企業が好調だったり、中国では電気自動車が注目されていたりします。具体的には、アメリカのNASDAQ指数や中国の上海総合指数の推移を調べることで、市場全体の動きが把握できます。また、業界紙や専門ニュースを読むことで、個別の業界や企業の動向も掴めます。その国では有名だけどまだ海外に進出していない企業などが海外でシェアを獲得していくなどすると、一気に株価が上昇する可能性が高いので、そういった銘柄は要チェックです。

2.各国の政治・経済情勢を調べる

次に、各国の政治や経済情勢をチェックしましょう。これは、国際的な出来事が株価に大きな影響を与えることがあるためです。例えば、アメリカの大統領選挙の結果や、英国のEU離脱問題などは、世界経済や外国株の相場に影響を及ぼすことがあります。アメリカや中国そして欧州といったGDPの大きな国の情勢は、その国の株式市場だけでなく世界中のマーケットに影響を与えるため要注意です。また各国の中央銀行の金利政策や財政政策も、外国株式市場に影響を与える要因となります。こうした情報は、新聞やインターネットのニュースサイトなどで入手できます。とはいえ新興国銘柄の情報取得を日本語でかつ日本から行うのは至難の業なので、新興国の銘柄への投資を検討する場合は慎重に行ってください。

インデックス投資などで市場全体を買っていく場合は、その国のGDP成長率や主要産業の発展具合、そして人口の増加などをみると良いでしょう。例えば、お隣台湾の主要産業は半導体です。コロナ以降は特に半導体業界が世界的に好調で、当然台湾マーケットも活況を呈していました。台湾市場の場合は世界最大の半導体製造会社TSMCが台湾株式市場の時価総額1/4ほどを占めておりかなり特殊ですが、TSMCの下請け企業なども多くいるため、台湾株式市場連動の投資信託やETFなどを購入するのは、半導体産業へ投資しているのに近い意味合いとなります。

またインドネシアなどのように人口も多く、かつ今後も人口増加が見込まれる国の場合は日用品などの伸びが見込めます。当然人口が増えれば衣服や日用雑貨などの消費も比例して増えるということです。

3.業種ごとの市場動向も忘れずチェック

そして、業種ごとの市場動向を調べましょう。これは、業界全体の成長や縮小が、その業界に属する企業の株価に影響を与えることがあるためです。例えば、スマホ市場が縮小している時期に、スマホ関連企業に投資するのはリスクが高いでしょう。逆に、医療技術が急成長している時期にその分野に投資すると、うまく利益が出る可能性があります。業種ごとの市場動向を把握する方法として、業界レポートやアナリストの評価、企業の業績発表などを参考にしましょう。

以上のポイントを意識して外国株式市場を分析することで、より適切な銘柄選定が可能になります。市況やトレンドを把握することで市場全体の動向を理解し、各国の政治・経済情勢を調べることによって、国際的な出来事が株価に与える影響を予測しやすくなります。業種ごとの市場動向を調査し将来性のある業界や企業に投資するチャンスを逃さないようにしましょう。

外国株投資における注意点

外国株投資を行う場合はルールや税制などに注意が必要です。一番身近な米国株投資で国内株と比較すると以下の違いがあります。(あくまで基本ですので例外があるケースもあります。)

日本株と米国株の比較表

個人的には通貨の違いによる為替判定が厄介な存在になりえるかと思います。というのも評価益は日本円に換算して課税されるため、米国株のある銘柄に1000ドル投資して、1200ドルのリターンを得たとします。日本株の感覚でいれば200ドルの利益なので、それに20.315%の国内課税と考えてしまいますがこれは間違いです。というのもあくまで円換算で計算されるので、購入時の通貨レートが1ドル100円で、売却時の通貨レートが1ドル150円だった場合は、利益は以下のように計算されます。

(売却価格) 1200ドル X 150円 – (購入価格) 1000ドル X 100円 = 18万円 – 10万円 = 8万円

なので源泉徴収ありの特定口座の場合は、8万円に対して20.315%である16,250円が税金として徴収されます。

このケースであればまだよいのですが以下のケースの場合はドルが減っているのに課税されてしまいます。

(売却価格) 800ドル X 150円 – (購入価格) 1000ドル X 100円 = 12万円 – 10万円 = 2万円

このケースでは2万円に対して20.315%として, 4063円が税金として徴収されます。

ドルでみると1000ドルが800ドルに減っているのに為替レートの影響で円換算すると利益が出ているとみなされてしまうわけです。

株なら値段なんて動くものと許容できるかもしれませんが、これがMMFなどの場合はとりあえずドルをMMFで持っておいて、必要なときに使おうと考えているとMMF購入時と売却時の為替レートによってドルが減るなんてこともあります。源泉徴収ありの特定口座では、利益がでれば売却のタイミングで控除されてしまうので、1000ドルのMMFを購入して2か月後にそのMMFを解約しただけで課税されてしまうというパターンもあります。

あくまでここは日本なので、外国株など外貨の商品であっても日本円に換算して計算されるのは基本として意識しておく必要があります。

なおインカムゲインについては租税条約等がある国の銘柄であれば、確定申告することによってその国で課税された額の還付を受けることができるケースがあります。よく米国株投資の初心者向け書籍で、さらっと米国現地で源泉徴収された分は確定申告で取り戻すことができますなどさも全額返ってくるような書き方をしている記述が散見されます。

しかし、実際に申告した方ならわかると思いますが、現地で源泉徴収された分の全額が必ず返ってくるわけではないので注意が必要です。これは海外と日本での収入のバランスやなどでどこまで還付されるかが決まります。この辺りの詳細はまた別の記事で説明したいと思います。

ということで、国内株でも頭いっぱいな方は海外株式への投資はもう少し辛抱してみたほうが得策かもしれません。とはいえ日本の高度成長期はバブルとともに崩壊して、少子高齢化により今後の大きな成長が見込めない今となっては、その他先進国や新興国市場に投資したい方も多いと思いますので、そういった方は是非外国株投資も勉強していってくださいね。

外国株を選ぶ際に押さえておきたい4つのポイント

それでは、具体的にどんな銘柄を選ぶべきか、4つのポイントをお伝えします。

1.グローバル企業かどうか

アップルやコカ・コーラといったグローバル企業であれば、グローバル分散投資しているのに近い効果が得られます。というのもコカ・コーラなどは米国の企業ですが、決して米国だけで利益を上げてるわけではなく、世界中で利益をあげているので米国単独の市場環境に左右されないためです。アップルもiPhoneに代表されるようにアメリカ人が持っているわけではないですよね?

こうした企業であれば情報も入ってきやすいですし、更に業績も安定している傾向にあります。世界中にファンがいればすぐに潰れることもないでしょう。こういったグローバル企業はビジネスモデルがしっかりしており、長期的な視点で成長が見込めます。

例えば、アップルやマクドナルドは、強いブランド力や市場シェアを持ち、世界中で愛されている商品やサービスを提供しています。こういった企業は、不況時でも安定した収益を上げることができます。

グローバル企業でない場合は、その企業が活動している国の状況に大きく依存することになるので、その国のマーケットを正しく理解している必要があるのと、やはり日本から見えづらいのがネックになるでしょう。

ただし、海外旅行などで自身が訪れた国で「大流行りしているがまだ海外進出していない。しかし、それも時間の問題」といった成長企業を見つけることができたらラッキーです。今後グローバル企業になる銘柄というのは投資対象として非常に魅力的です。

2.業績が良好もしくは成長が見込めること

業績が良好な企業は、将来的な成長が期待できるため、投資の対象として魅力があります。売上や利益が右肩上がりで推移している企業は、ビジネスが成功している証拠です。AmazonやTeslaはイノベーションを起こし続け、業界をリードしています。業績をチェックする際には、過去の財務データや業界内での競合他社との比較が有益です。成長率や利益率を確認し、将来性のある企業を選びましょう。

GoogleもAmazonもTeslaも昔は日本人みんな「なにその企業?」という感じでした。その国ではまだ知る人ぞ知る企業だけど、これから世界に打って出るような企業が見つかれば、その銘柄に投資することで大きなキャピタルゲインを狙うことができます。

なおPERやPBRなどは日本の類似企業と比較しても意味がないことが多いので、その国の市場に上場している銘柄同士で比較することをおススメします。

3.長期投資であれば配当が安定していること

短期投資やグロース投資であれば、配当というインカムゲインは気にする必要はありません。特にグロース投資であれば、利益を配当に回す企業よりは利益を会社の成長に投資する企業の銘柄を購入したほうが得策です。ただし、長期投資やバリュー投資の場合は、配当は重要な要素となります。

長期投資は長期に保有することが前提なので、配当を出す企業の銘柄を購入する場合は、その配当が今後も継続するのか、増配する可能性はあるのかを意識する必要があります。またバリュー投資においては割安かの判断に配当利回りも出てきます。配当打ち切りや減配の可能性がない場合においては、ある程度まで株価が下がるとその分配当利回りが高い状況になるので、下支えとなります。

そのあたりを底と見極めて投資判断をしたりすることも可能です。

成熟企業への投資であれば配当が安定している企業は、投資家にとって魅力的です。増配傾向にある銘柄であれば、配当の存在が株価の下支えになりますし、相場が荒れた場合も戻りが早い傾向があります。コカ・コーラやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は長年にわたり安定した配当を支払っており、投資家から支持されています。

配当利回りや配当成長率をチェックし、安定した収益が期待できる企業を選びましょう。また財務状況が良く、業界内での競争力がある企業が、安定した配当を維持しやすいと言われています。

配当は大事なのですが、税制という観点でいうと常に配当日に課税されるわけなので、必ずしも配当があったほうがいいという訳ではありません。米国株への投資であればキャピタルゲインのほうが現地での源泉徴収もないのでいいですね。

4.税制や取引ルールが理解できていること

外国株投資で大事なのは税制や取引ルールを理解していることです。思った以上に税金で利益を持っていかれたり、現地での源泉徴収が多い場合は、損だししても損益通算に使えないといったパターンとなる可能性があります。高配当銘柄などで損だしした場合は、配当金に対する源泉徴収分は日本での損益通算の対象にならない点など要注意です。

個人的には無理に外国株に投資する必要はないかなと考えています。とはいえ米国だけは別格で、世界の名だたる企業が存在しており、米国株への投資だけは検討してもよいかもしれません。

日本人である以上、日本円で給与をもらい、日本円で貯蓄し、住居などの日本の不動産資産を持つことがほとんどだと思います。そうなると資産ポートフォリオとしては日本比率がどうしても高くなってしまうので、ある程度外貨や外国株などを持っておくのも分散という観点ではありだと思います。

まとめ

今回は、外国株式市場での銘柄選定の方法について解説しました。市況やトレンドを把握し、政治・経済情勢や業種の動向を調べることで、銘柄選定のヒントが見つかります。

初めて株式投資をするのであればまずは日本株から始めることをオススメしますが、ある程度慣れてきた方や日本円以外の資産も保有したい方などは、ぜひ外国株式市場に挑戦してみてください。そして、自分の目で情報を分析し、自分に合った投資スタイルを見つけていきましょう。最初は小さな投資から始めて、徐々に経験を積んでいくことが大切です。

最後に、投資は自己責任で行うものですので、損失に耐えられる範囲での投資を心がけてください。そして、楽しみながら投資の世界を学んでいくことが、長期的な成功へのカギとなります。

みなさんの投資が成功につながることを願っています!外国株式市場での銘柄選定、がんばってくださいね!

それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!

IFAとは? IFAを利用するメリットを解説の記事へのリンク
黒田太郎
執筆者
黒田太郎
ファイナンシャルプランナー
オーストラリアのLaTrobe大学でコンピューターサイエンスを専攻。卒業後日系メーカーに就職しタイ、シンガポール、台湾に駐在し通算13年の海外生活を経験後、退職しFP(ファイナンシャルプランナー)として活躍中。 一人でも多くの人の役に立つような情報、たまにちょっとニッチな情報と幅広く発信させて頂きます! 保有資格 AFP認定者、ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員一種、応用情報技術者
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