ボンジョルノ!皆さん、こんにちは!
2023年5月よりコロナが5類感染症へ分類されて週末の人混みも一気に復活してきました。もともと訪日観光客も解禁となっており京都をはじめ外国人観光客に人気のスポットは既に混んできていましたが、最近は新幹線に乗っても乗車率の高さに驚かされるばかりです。スーツケースを持った旅行客がたくさん乗車しておりコロナ前の景色を思い出してきました。さて、日本国内在住の皆さんも海外旅行などを検討し始めたりしているのではないでしょうか?ようやく国境を越えた往来も容易にできるようになってきました。
海外旅行というと人気な場所は王道のハワイや、リゾートとしてのタイなどでしょうか?当然富裕層の方々もハワイなどようやく行き始めているような話をチラホラ耳にします。旅行といえばハワイは王道中の王道ですが、では移住となるとどうでしょう?旅行と移住ではだいぶ話のレベルが変わってきます。そして富裕層の移住先として、なんとなくイメージされるのがシンガポールという方もそれなりにいるのではないでしょうか?今回は何故シンガポールが富裕層の移住先として選ばれるのか、そこにはシンガポールの税制優遇と税制上の大きなメリットが関係しております。今回の記事ではなぜシンガポールが選ばれるのか、シンガポールの税制優遇とメリットを中心に深掘りしていきたいと思います。
シンガポールについて
私自身も昔仕事で数年シンガポールに住んでいたことがあります。国といっても国土は非常に狭く、山手線一周くらいの広さしかありません。もともと戦後にマレーシアから独立してできたこともあり、シンガポールは都市国家となっています。マレーシアとも橋で繋がっており陸路で行き来することが可能です。この橋は平日であればマレーシアからシンガポールへ来る労働者の方々、週末はシンガポールからマレーシアに観光などで向かうシンガポールの人々でごった返しており、橋を渡って出入国するだけで数時間かかってしまうこともザラなくらいいつも混んでいます。水や食料などは隣国マレーシアや近隣諸国からの輸入にそのほとんどを頼っており、なかなかハードそうな環境ではありますが、高層ビル群に代表されるようにとても豊かな国となっています。そしてその高層ビル群の中には多くのグローバル企業のアジア地区拠点などが入居しています。また金融業も非常に盛んで、もともと香港とシンガポールはライバル関係でしたが、香港の民主化運動弾圧以降は、香港の中国化を恐れてシンガポールへ多くの資金が流入してきているとも言われています。シンガポールには多くの富裕層も住んでおり、あのジム・ロジャースもシンガポールに居住しています。
何故ビジネスや移住先としてシンガポールが選ばれる?
ビジネス上で、シンガポールが好まれるポイントはたくさんあるでしょう。まずシンガポール自体は中華系、マレー系、インド系など他民族国家であり様々な言語が日常で使われていますが、公用語として英語が採用されているという点です。もともとイギリスの植民地であったこともあり法律は英国法がベースになっているためビジネスという点でも非常にメリットがあります。契約書などがすべて英語なのも海外と取引をする企業にとって大変利点があります。そして人口割合としては中華系が大部分を占めており、あとはマレー系やインド系のバックグラウンドを持つシンガポール人などが暮らしています。彼らは家に帰れば各家庭のルーツとなる言語を話しますが、学校や職場などでは英語でコミュニケーションを取ります。英語が国のインフラとして完全に機能していることになります。また中華系シンガポール人であれば中国の標準語(マンダリン)も話すことができるので、法人としてもシンガポールに拠点を構えれば採用人材の多言語対応がしっかりしているので、中華圏やインドや英語圏両方との貿易上のやり取りも非常にスムーズに済ませることができます。グローバル企業が本社をシンガポールに構えることで、中国やアメリカ拠点とのやり取りを言語上はもちろん、契約上なども問題なくスムーズにこなすことができます。このポジションはなかなか他の国では代替することはできないでしょう。そして教育という観点でも、複数言語喋れて当たり前、多くのグローバル企業が拠点を構えている労働環境、ということで非常に高度人材も多く、そうした人材を育てるための教育環境もしっかりしているため、子育てという観点でもシンガポールは人気です。また多言語・多文化な環境であるが故に、私自身住んでいる間に差別的と感じた出来事は一切なく、外国人が移住しやすい環境、そして雰囲気であるといえるでしょう。
シンガポールの税制優遇と税制上のメリット
ビジネスや生活のしやすさはご理解いただけたかと思いますが、次は税制上のメリットです。シンガポールは他国に比べて税制上優位であり、この点が富裕層を惹きつける最大のポイントかもしれません。シンガポールとしては国際競争力を出すためにあえて税制を魅力的にするために、税制優遇を強化している側面がもちろんあります。そしてそれは法人にもいえることで、グローバル企業が法人をシンガポールに構え、そこを拠点に貿易活動を行うことで税制上のメリットを出すことができます。
No.2260 所得税の税率|国税庁 (nta.go.jp)を参考。
IRAS | Individual Income Tax ratesを参考に、シンガポールの税額を日本式の書き方に変更した表
個人の税率をみていきましょう。シンガポールも日本と同様の累進課税制度となっており、所得が高ければ高いほど税率が上がっていくようになっています。まず2024年以降の税制をみると居住者の最高税率は24%となっています。しかもこれは100万シンガポールドル以上での税率です。2023年5月時点でざっくり1シンガポールドルが100円なので、1億円以上の所得があっても24%の課税で済むことになります。また住民税はありません。
とはいえ、控除等のルールが違うので厳密に税率だけで比較するのもナンセンスですね。では実際にシンガポールで税の徴収などを担当する内国歳入庁(IRAS)のホームページにあった課税モデルケースをみてみましょう。
64歳で給与収入が250,000シンガポールドル(約2千500万円)を2022年に受け取った方という設定のモデルケースです。(日本の国税庁のページでモデルケースが給与収入2,500万円なんてしたらマスコミから袋叩きにされそうですが、さすがシンガポール。)250,000ドルという収入に対して納めなければいけない税額は27,629ドルです。実効税率約11%の課税で終了です。これは私も驚きです。
さて、日本の場合はどうでしょう。仮に年収約2500万円と設定し、社会保険料の計算を簡略化するために単純に12で割って月収が約208万円だとします。そうすると以下の表のとおりとなります。
日本では所得税と住民税の両方が所得に対して課税されます。その結果、2500万円の収入に対して、約765万円を税金として納めなければいけません。実効税率約31%の課税となります。このケースだけで比較してしまうと、日本ではシンガポールの3倍税金を納める必要があるということになりました。これは高給取りや富裕層の方はシンガポールに拠点を構えたくなってしまうのも不思議ではありませんね。
また法人の場合、法人税は17%で済みます。さらにある程度の利益額までは還付金が存在するため実質は17%より低く済むことになります。これは税制という観点では、個人も法人もシンガポールに拠点を構えたくなってしまいますね。
投資環境としてのシンガポールと非課税対象
投資環境としてもシンガポールは非常に優れています。私自身も当時証券口座をシンガポールで持っていましたが、株式市場でいえばアメリカ市場やシンガポール市場はもちろんのこと、東京証券取引所やロンドンなどの売買も簡単にできますし、債券の取り扱いも非常に多く、それこそウクライナ国債など日本ではなかなか取り扱いがないような債券にも直接投資することができました。そして契約書類から取引まで含めてすべて英語なので言語上のハードルも非常に低いです。何よりの魅力はキャピタルゲインに対して非課税であるという点ではないでしょうか。シンガポールでは以下の利益に対しては非課税となります。
・シンガポール国内の不動産の売買に伴う利益(不動産事業を除く)
・株式等の売買に伴う利益。デジタル通貨の売買に伴う利益もこれに含む(個人レベルの投資においてのみ)
・保険契約から発生する利益
諸条件ありますが個人であれば上記キャピタルゲインはすべて非課税です。株やビットコインでいくら儲けても課税されないということになります。なお配当金などのインカムゲインは課税対象となりますので注意が必要です。またシンガポール国外での利益であれば現地で源泉徴収されたりしますので、シンガポールに住んでいるからすべてのキャピタルゲインに対して非課税になるという訳ではない点は注意ですが、それでもこれは凄まじい税制上のメリットとなります。
まとめ
今回はシンガポールを税制という観点で見てみました。私自身も仕事で数年住んでいる中で、非常に素晴らしいポイントがたくさんある国だなと実感していました。家賃や生活費そして学費などは日本に比べると非常に高いのですが、ある程度の収入を超える富裕層の方々にとっては最高に住みやすい国なのではないでしょうか?とはいえ東南アジアの匂いもしっかり残っており、庶民向けのレストランも豊富に存在しますし、国際都市とだけあって、西洋料理、タイ料理、インド料理、中華料理、日本料理、中東料理となんでもあります。もちろんシンガポール料理だってしっかりあります。お金さえあれば食には飽きることはないでしょう。国土が狭いのが難点という意見もたまに聞きますが、タイをはじめASEAN諸国であれば1~2時間ほどで着きます。東京やオーストラリアのシドニーであっても7時間くらいでたどり着けますし、シンガポールを拠点に周辺国に旅行にいける経済力のある方であれば最高の立地だと思います。シンガポールの魅力はまだまだありますので、またどこかで記事にできればと思っています。
それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!