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2023.9.22

海外駐在員の資産運用!非居住者用総合取引口座(常任代理人口座)とは?

海外駐在員の資産運用!非居住者用総合取引口座(常任代理人口座)とは?
目次
01. 
 海外駐在者(非居住者)の人は日本で株式を保有できるのか?
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02. 
非居住者用総合取引口座(常任代理人口座)とは?
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03. 
非居住者でも企業型確定拠出年金制度(DC)は使えます!
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04. 
海外駐在員が赴任先の現地で資産運用するメリットとは?
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05. 
駐在員に人気な海外保険?実際どうなの?
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06. 
まとめ
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ボンジョルノ!皆さん、こんにちは!

昨今日本企業も海外売上比率が高くなってきており、サラリーマンの方でも海外駐在などで居住を海外に一時的に移すことも多くなってきました。国際結婚や移住であれば日本の資産を整理したうえで渡航するパターンが多いと思います。

ただし海外駐在員の場合はいつか帰国するというのが大前提としてありますが、任期が決まっていないことも多く、長い方は10年以上そして短い方ですと1年ちょっとで本帰国(日本へ戻ること)となるケースもあります。なかなか予想を立てられない海外異動ですが、海外駐在員の方はどういう資産運用が可能なのでしょうか?

 海外駐在者(非居住者)の人は日本で株式を保有できるのか?

多くの証券会社は日本の居住者を相手にサービスを提供しています。そのため海外へ引っ越す、つまり非居住者となってしまう場合は口座を閉じなければいけなくなってしまうケースが多いです。私自身以前に駐在員として海外赴任となる際は、一旦全保有株式を売却して現金化して出金した後に、証券口座を閉じないといけませんでした。

含み益が乗っているタイミングでは売却時に税金も発生してしまいますし、逆に含み損の場合は全保有銘柄損切りしないといけませんし、しかもその後海外へ引っ越してしまうとなると、損益通算も難しく損をうまく使えないのでかなり不利な取引を強いられてしまいます。

では海外赴任者にとって、何か良いやり方はないかというと、実は非居住者用の取引口座というものがあります!ではこの非居住者用の取引口座について見ていきましょう。

非居住者用総合取引口座(常任代理人口座)とは?

常任代理人という言葉はご存じでしょうか?日本証券業協会のHPには「外国人投資家に代わって、 配当金及び諸通知の受領や、名義書換請求権及び増資・新株引受権の権利の行使等を行う日本国内における代理人のこと。通常、証券会社又は銀行等の金融機関が常任代理人としての役割を担っている。」とあります。出典:常任代理人 | 日本証券業協会 (jsda.or.jp)

要するに非居住者の代理として証券周りの対応をしてくれる人のことを指します。この常任代理人として対応可能な証券会社であれば、新規に非居住者用の証券口座を開設して、そちらに現在保有の株式等の有価証券を移管すれば海外赴任で出国する前に慌てて売却する必要がありません。

もちろん常任代理人手数料はかかりますが、非居住者期間であっても証券の保管はもちろん、売買や入出金にも対応してもらえるため検討の価値はあります。例えば保有有価証券の評価額が1200万円以上であれば、常任代理人手数料が年間12万円(月1万円)だとしてもコストとしては保有有価証券の評価額の1%以下となるため検討してみるとよいでしょう。

一方で現在保有する株式等の評価額が少額の場合は、常任代理人手数料のインパクトが大きくなってしまうのでこちらの制度を利用するのは難しいかもしれません。例えば100万円の運用なのに年間12万円も手数料を払っていては賢い運用方法とはいえません。

非居住者でも企業型確定拠出年金制度(DC)は使えます!

企業確定拠出年金は海外駐在員でも継続利用が可能です。

ではある程度の金額に満たない投資額の場合は運用を諦めないといけないでしょうか?もちろん赴任先で現地の証券会社を使って運用することは可能かもしれません。ただし日本株の取り扱いがない場合や、現地の法律や税制の理解、そしてなにより言語が高いハードルとなるでしょう。そして海外赴任の場合は帰任の辞令がでれば速やかに帰国する必要があることも多く、せっかく現地で開いた証券口座をクローズする手間や出金する手間が発生します。また現地での確定申告が必要な場合もあり、期間限定で数年現地に居住することとなる駐在員には難しい選択肢かと思います。

ここで便利なのが企業型確定拠出年金制度の活用です。というのも、駐在員は海外赴任中であっても国内勤務中と同様に健康保険や厚生年金に継続加入することになるため、企業型確定拠出年金制度も継続利用することができるのです。社会保険被保険者という立場は継続するため企業型確定拠出年金制度を使って国内勤務時と同様に掛金の拠出と運用を続けることができます。

なお企業型確定拠出年金制度が所属する企業にない場合はどうするか?という問題ですがこちらは「個人型」のiDeCoを利用することで「企業型」より掛金上限が低くなるなどメリットは小さくなってしまいますが、同様に掛金の拠出と運用を継続することができます。

※赴任先によって例外が発生する可能性はあります点、ご容赦ください。

海外駐在員が赴任先の現地で資産運用するメリットとは?

現地で証券口座等を開いて運用を行うのは駐在員にはハードルが高いとお伝えさせていただきました。もちろん制度の理解や言語の違いが課題になるのですが、税制もきちんと理解しておく必要があります。

例えばシンガポールだとキャピタルゲイン(譲渡益)に対して非課税となるため、日本で運用するよりも非常に有利に株式の運用が可能と一般に知られています。ただし配当などのインカムゲインに関しては外国株の場合は現地で源泉徴収される場合もあるので要注意です。

また一般的に駐在員の場合は会社側が毎年の現地での確定申告を代行してくれるため、給与所得以外があると問題になるケースもあるのであまりオススメできません。問題になるのを避けて会社や税申告代行会社に運用損益の話を報告しないのも、後々に追徴課税等になった場合に大問題になりかねないので要注意です。

私が海外駐在中に聞いた例としては、こうした手続きをきちんとしておらずシンガポールの税務署に該当する機関からの税振込指示も無視していた結果、空港で身柄を拘束されたケースもあるようです。こうなると会社でも大問題になるので、駐在員が現地で運用をする場合はしっかりと確認を行う必要がありハードルが高いため、前述の常任代理人口座もしくは企業型確定拠出年金やiDeCoを活用するのが安全かと思います。

駐在員に人気な海外保険?実際どうなの?

株式や債券などの有価証券だけでなく、海外駐在員だと現地の保険商品も人気だったりします。確かに海外で扱われている保険商品は国内の商品より非常に魅力的な保障内容や利回りを提示されることがあります。これらは日本居住者には販売できないため、海外駐在中(非居住者期間)でのみ購入が可能なため駐在員にも人気だったりします。

ただし本帰国(帰任)後も現地の保険会社とやり取りが必要になるため、帰国後に現地の保険会社の担当者と音信不通になってしまうと非常に厄介になってしまうケースも考えられます。また保険業界も少なからず合併吸収などがあるため、もし当時駐在員に積極的に営業をかけていた保険会社が将来合併などで消滅してしまい、その後対応してくれる保険会社が外国人のサポートを放棄してしまうと日本からのやり取りだけでは解決できなくなるケースも想定されます。

問題が起きれば現地に飛んでいってやり取りすれば良いという気概の方であればよいのですが、帰国後の手続きの手間も考えて加入は検討したほうがよいかと思います

まとめ

今回は海外駐在員の資産運用というトピックをみてきました!私自身10年近く海外駐在を続けてきたこともあり、一番楽なので企業型確定拠出年金制度のフル活用なのではと思っています。

こちらであれば日本にいるときと全く同じ使い勝手で利用できますし、本帰国もしくは他の国に異動となった場合でも手続き不要なのも大きなメリットです。ただでさえストレスの多い海外駐在ですので、下手に現地で風呂敷を広げて疲弊するよりは、企業型確定拠出年金制度もしくは、非居住者用総合取引口座(常任代理人口座)を利用するのがよいかと思います!

気になる点などありましたら是非ご相談いただければと思います。それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!

黒田太郎
執筆者
黒田太郎
ファイナンシャルプランナー
オーストラリアのLaTrobe大学でコンピューターサイエンスを専攻。卒業後日系メーカーに就職しタイ、シンガポール、台湾に駐在し通算13年の海外生活を経験後、退職しFP(ファイナンシャルプランナー)として活躍中。 一人でも多くの人の役に立つような情報、たまにちょっとニッチな情報と幅広く発信させて頂きます! 保有資格 AFP認定者、ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員一種、応用情報技術者
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