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2023.10.27

国債は円建て債券?はじめてでもわかる円建て債券投資

国債は円建て債券?はじめてでもわかる円建て債券投資
目次
01. 
円建て債券の利回り推移について
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02. 
円建て債券の投資方法(個人向け国債のメリット・デメリット)
矢印
03. 
円建ての社債投資について
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04. 
円建てと外貨建て債券の違い
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05. 
債券投資の手数料(相対取引と市場取引の違い)
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06. 
まとめ
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ボンジョルノ!皆さん、こんにちは!今回は円建て債券投資について説明していきたいと思います。

円建て債券投資であれば為替変動リスクを考慮する必要もなく、米ドル建てなどの外貨建て債券よりも投資難易度は低いのではないでしょうか?円建て債券投資で一番有名な投資対象は日本政府が発行する日本国債かと思います。国債に限らず個人でも購入可能な円建て債券はいくつもあります。それでは円建て債券投資についてみていきましょう!

債券投資ってなに?という方はこちらの記事もチェックしてみてください♪

「債券投資の特徴を簡単に解説!」記事へのリンク

円建て債券の利回り推移について

日本国債10年債利回りの推移(1992年より)

日本はこれまでゼロ金利政策やマイナス金利政策を長らくとってきており、円建ての債券や定期預金でインカムゲインを取れるイメージが薄れてきていたかと思います。

それこそバブル期であれば国債の利回りは5%を超えていましたが、バブル崩壊後はずっと金利は低下し続けてきた歴史があります。これまでは円建て債券では利回りがほとんどつかないため、インカムゲインを狙う債券投資を考えた場合に円建て債券投資は選択肢として選びづらく、どうしても外貨建て債券投資を考えざるをえない状況でした。

しかしようやく現在ではグローバルでの物価上昇に伴う金利上昇の流れで、日本国債の利回りもプラスに転じてきました。上記は日本国債10年債利回りの推移チャートですが、現在は0.8%以上の利回りが出るようになっています。

円建て債券の投資方法(個人向け国債のメリット・デメリット)

現在募集中の個人向け国債・新窓販国債

現在募集中の個人向け国債・新窓販国債 : 財務省 (mof.go.jp)より一部抜粋
一番メジャーな円建て債券投資先として日本国債が上げられます。令和5年10月12日現在で上記の個人向け国債が募集中です。国債について解説していきましょう。

個人向け国債

左側の個人向け国債ですが、満期10年、5年、3年と分かれています。10年ものに関しては金利タイプが変動金利となっており、半年ごとに適用する利率が変わります。これら3つともに共通する投資家メリットが、発行後1年経過すればいつでも国の買取による中途換金が可能になっているため、元本割れリスクがない商品となっています。また最低1万円から1万円単位で購入できるので、少額投資したい個人投資家の方にも手が出しやすい商品となっているのが特徴です。

多くの証券会社や銀行で購入できます。デメリットとしては仮に金利が将来下落して債券価格が上がったとしても、満期前に市場で売却してキャピタルゲインを得ることはできません。債券価格の下落リスクを投資家が負わなくていい分、債券価格の上昇時に本来得られる利益機会は放棄する形になります。

新窓販国債(新型窓口販売方式)

右側の国債ですが、こちらは個人でなくても購入可能ですので法人でも購入可能なのが特徴です。

こちらは満期10年、5年、2年と分かれており全て固定金利となっています。また募集価格が100と限らないのも大きな特徴です。ですので投資家の方はオーバーパー(購入単価が額面金額より高い)もしくはアンダーパー(購入単価が額面単価より低い)で購入することになりますので、応募者利回りと表面利率が一致しないため気を付けましょう。満期までの保有を前提とする場合は投資利回りとしては応募者利回りを参照するようにしてください。

個人向け国債とのその他の違いとして市場で売却が可能な点が上げられます。そのため将来金利が下がって債券価格が上昇した場合には満期前に中途売却してキャピタルゲインを得ることができますし、一方で金利が上昇して債券価格が下落した場合は中途売却してしまうとキャピタルロスが発生する可能性があります。

こちらのほうが一般の債券投資と同様の動きなのでシンプルではありますが、絶対に元本割れしたくない投資家の方にとっては個人向け国債のほうが投資しやすいかもしれません。こちらも同様に証券会社や銀行で購入することが可能になっています。

円建ての社債投資について

SBI証券より販売されている円貨建債券(既発債)の一部

円建ての債券投資は国債に限らず社債への投資も選択肢としてあがります。上記リストはSBI証券が取り扱っている円貨建ての既発債の一覧になります。

債券の場合は発行条件や発行体のリスク評価によって利回りが変わってきます。一般的に満期までの期間が同じ国債の利回りと評価して、どれくらい乖離しているかでどれだけリスクを取っているかを計ることができます。

たとえば上記表ですと、静岡県発行の公募公債と、最下部にあるソフトバンクグループ発行の無担保社債は償還日までの期間はほぼ同じで利回りは1%以上変わってきます。発行体や債券格付けによって利回りが変わると冒頭申し上げた通り、こうした発行体リスクと利回りを照らし合わせて投資対象とするか評価する必要があります。

円建てと外貨建て債券の違い

10年債利回り比較

円建てと外貨建て債券の違いですが、債券投資という観点ではほとんど変わりません。発行体リスク(発行元の国や会社がデフォルトしないか等)はもちろんありますが、やはり全体的な市場の金利動向が債券投資のパフォーマンスに大きく影響を与えます。

また外貨建て債券の場合は当然ながら為替変動リスクも意識する必要があります。円建てでのパフォーマンスを意識するのであれば、購入時の為替レートより利金受け取り時や満期償還時の為替レートが円高になっていると、円評価では損失が発生する恐れがあることは意識しておいたほうがいいでしょう。

一方で債券投資において投資家の皆様が一番意識する利回りという観点では、上記表にある通りやはり円より外貨での債券運用利回りのほうが高くなっています。為替変動リスクと利回りをみながら吟味する必要がありますが、円建てでの債券投資では収益性はそれほど高くならないのは意識しておいて損はないでしょう。

債券投資の手数料(相対取引と市場取引の違い)

相対取引と市場取引の違い

円建ての債券購入に係り別途発生する手数料は通常ありません。というのも購入単価に手数料が反映されているからです。日本においてはほとんどのケースで債券売買は相対(あいたい)取引によって行われます。

一方で株式売買は東証などを通じての市場取引となります。相対取引の場合、取引条件は証券会社側で決めることができるので、販売価格の中に自身の手数料も反映しているわけです。そのため販売価格と売却価格の差(スプレッド)が実質的な売買手数料とみておけばよいのです。まとまった額での債券投資を検討する場合は、複数の証券会社に所属するIFAに相談することで、一番条件のよい証券会社から債券を引いてきてもらうことも可能ですので、債券投資においてはIFAを活用することをオススメします!

まとめ

2024年より新NISA制度も始まり、盛り上がっている株式投資と違って債券投資はあまり注目されていません。ただし債券投資は満期までの保有を前提にした場合、発行体リスクなどを除けば、元本割れが発生しない商品性となっています。

円建て債券はゼロ金利政策やマイナス金利政策の影響で最近は利回りもほとんど出ず注目されてきませんでしたが、円建てにおいても今後さらに金利が上昇した場合には為替変動リスクを意識せずに収益を確保することができるため、より注目が集まる可能性は大いにあります。他にも債券投資についてはたくさん記事を上げていますので是非参考になさってください!

それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!

黒田太郎
執筆者
黒田太郎
ファイナンシャルプランナー
オーストラリアのLaTrobe大学でコンピューターサイエンスを専攻。卒業後日系メーカーに就職しタイ、シンガポール、台湾に駐在し通算13年の海外生活を経験後、退職しFP(ファイナンシャルプランナー)として活躍中。 一人でも多くの人の役に立つような情報、たまにちょっとニッチな情報と幅広く発信させて頂きます! 保有資格 AFP認定者、ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員一種、応用情報技術者
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