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2023.6.14

債券投資の方法を徹底比較!個別銘柄 vs 投資信託・ETF 

債券投資の方法を徹底比較!個別銘柄 vs 投資信託・ETF 
目次
01. 
債券投資の方法について 
矢印
02. 
個別債券へ投資するメリット ・デメリット
矢印
03. 
投資信託やETFを介して債券投資するメリット ・デメリット
矢印
04. 
債券投資手法は結局個別銘柄?投資信託?ETF? 
矢印
05. 
まとめ 
矢印

ボンジョルノ!皆さんこんにちは! 

今回は債券投資についての話を取り上げたいと思います。債券投資では個別銘柄に投資する方法もあれば、投資信託やETFを介して債券投資する方法もあります。 

それぞれの投資方法の比較と、どういうメリットがお互いにあるのかを検証していきたいと思います。 

債券投資ってそもそも何?という方はこちらの記事も参考にしてください! 

「債券投資の特徴を簡単に解説!」記事へのリンク

投資信託とETFの違いや、ETFって何?という方は先にこちらの記事を読んで頂くとよりご理解いただけるかと思います。

債券投資の方法について 

国債や社債といった債券への投資ですが、大きく分けると個別の債券へ直接投資する方法と、投資信託やETFを介して債券ファンドに投資する手法があります。個別債券銘柄への直接投資はわかりやすく、ご自身で例えば米国債やある会社が発行する社債を購入することになります。この場合は、購入検討時に単価と表面利回りが明示されており、満期期間に応じて保有利回りを計算することが簡単にできます。既発債の場合は、利払い日からの経過日数に応じて経過利子を追加で支払うことになります。これは満期前に売却するときは逆に経過利子をもらえることになるので、利払い日からの経過日数によって損得が発生するという話ではありません。このルールのお陰でいつ売り買いしても保有期間に応じた利回りとなります。 

様々な個別債券全体に投資するイメージを表したイラスト

一方で投資信託やETFであれば、あらかじめいくつもの債券がバスケットになった状態に投資しているイメージとなります。個々の債券は満期や利回りや発行体もバラバラとなっているケースが多いです。ただ投資信託やETFともにもちろん運用方針やテーマが違いますので、米国債中心のバスケットになっていたり、ジャンク債といって高利回りですが格付けが低い銘柄で構成されたバスケットだったりとそれぞれ構成は違います。 

個別債券へ投資するメリット ・デメリット

ではそれぞれの投資方法のメリットデメリットは何でしょうか?

個別債券へ投資するメリット

個別債券へ投資するメリットとしては発行体リスクを除外すれば、投資検討段階で利回りや条件そして満期までの期間がはっきりしていることが挙げられます。債券の特徴として、満期まで保有していれば額面で返ってきますので、5年後に額面で償還されることを期待する投資家であれば個別債券への投資という選択肢となります。また利回りも予め計算が可能なので、投資計画や見通しが立てやすいというメリットもあります。格付けがBBB以上の投資適格債であれば買い手をみつけるのは難しくないので、償還前の売却も容易でしょう。なお、日本においてはほとんどのケースで証券会社との相対取引となりますので、株式と違って東証のような市場で売買する取引にはならない点は注意が必要です。ですので、購入・売却単価の差異(スプレッド)が証券会社の手数料となります。株式の取引所での売買にかかってくる取引手数料と違って、債券の売買は通常購入・売却単価に既に手数料が含まれていることは頭の片隅に置いておいてください。 

個別債券へ投資するデメリット

デメリットを挙げるとすると、最低購入価格が比較的高いところが少額投資家にはネックとなります。証券会社や銘柄によって違いますが米ドル建ての債券であれば額面で1000ドルや2000ドルといった最低購入金額が決まっているケースがほとんどです。ジャンク債などの比較的格付けが低い債券への投資を考えた場合は、発行体の信用リスクを低減するために複数銘柄へ分散投資するのがお作法ですが、個別銘柄で分散投資しようとするとそれなりにまとまった投資資金が必要な点も注意しましょう。 

投資信託やETFを介して債券投資するメリット ・デメリット

投資信託やETFを介して債券投資するメリット

今度は投資信託やETFを介して債券投資する場合ですが、こちらのメリットは分散投資が効いているところになります。債券ファンドで複数銘柄を保有していますので、債券への分散投資を容易に実現することができ、個々の発行体の信用リスクをそこまで考慮しなくてよいというメリットがあります。また投資信託であれば証券会社によっては100円からの買付が可能なので、少額での積み立て投資にも利用可能となります。昨今の金利情勢は先が見通せないので、購入タイミングを分散するドルコスト平均法を利用して債券投資をしたいなんて場合であれば、投資信託やETFを利用するのも手です。また国内の証券会社から購入可能な債券はそれほど種類が多くないので、ジャンク債や物価連動債(TIPS債)などへ投資したいけれども扱っている証券会社が見つからないという投資家の方にとっては、投資信託やETFを介して投資することでご自身の希望や条件にあった債券種類に投資することが可能になります。

投資信託やETFを介して債券投資するデメリット

個々の債券に個別に投資するのと違い満期という概念がないため、購入時点より金利情勢が更に金利上昇方向にぶれて既存の債券価格が下落していくような局面では、資産価値がどんどん目減りしてしまうケースも想定されます。またファンドが保有する債券のほとんどが過去に発行された債券である以上、債券ファンドの利回りも現在の金利を下回ってしまうので、利回りも低いし、売却しようにも価格も下がってしまうというケースに陥ることとなってしまいます。満期まで保有するということができないため、どこかのタイミングで売却が必要になるのでそのタイミングが難しいという場合も発生するでしょう。 

なお手数料としては投資信託の場合は購入時に発生する手数料(ノーロードといって購入手数料ゼロの場合もあり)と信託報酬といって保有期間中発生する経費があります。ETFの場合は市場で売買しますので、通常の株式と同様に購入や売却時に証券会社へ支払う手数料が発生します。またETFも信託報酬と同様に保有期間中間接的に運用コストを負担することとなります。購入と売却のスプレッドは個別債券への投資に比べるとずっと小さいケースが多いです。 

債券投資手法は結局個別銘柄?投資信託?ETF? 

では、債券投資を検討した場合にどういった手法をとるのがよいのでしょうか?投資家のスタンスによって変わってきますので、それぞれ検証していきたいと思います。 

債券投資方法の選び方

満期まで債券を保有して、期待した通りの利回りを受け取りたい。 

こういった投資家の場合は個別債券銘柄への投資がよいです。やはり満期まで保有すれば額面通り償還されるという部分が債券投資の醍醐味と認識している方は多いと思います。それこそ営業外損を作りたくない法人での運用などであれば満期まで保有を前提に投資したいケースがほとんどだと思います。となると個別の債券へ投資するのが最良の選択肢となります。投資信託やETFの場合は満期まで保有ということが不可能なので、出口戦略が立てづらいのは事実です。 

ドルコスト平均法を用いて分散投資したい。 

投資資金がある程度まとまってある投資家であれば、10本以上の個別債券を毎月や四半期ごとなど定期的に買っていくことは十分可能だと思います。そして満期まで保有を前提にすることで発行体リスクを分散しつつ、安定的な利回りを期待することが可能です。ただし、投資資金がそれほどない場合は個別債券投資への最低購入価格がネックとなり、複数銘柄を複数期間に分けて買い付けていくことは難しいです。その場合は投資信託やETFを用いることで、少額ずつ複数銘柄に分散して、定期積立購入することが可能になります。ドルコスト平均法を利用することで運用利回りを平均化することができるので、金利動向が読めない昨今では投資方法の一つとして有効でしょう。 

MBSやハイイールド債や物価連動債に投資したい 

個人投資家の方で日本の証券会社でなかなか購入することができないタイプの債券に投資したい場合は、投資信託やETFを介して債券投資することで幅広い銘柄に投資することができます。もし今取引している証券会社で扱っている場合はラッキーですが、個人投資家のためにそこまで複数の債券を扱っている証券会社は多くないため、投資信託やETFを利用することでご自身の希望する債券種別への投資が実現できるケースもあります。 

頻繁に売買したい 

個別債券の売り買いの場合は売却と購入のスプレッドがかなり開いているケースもあり、頻繫に売買するのには不向きです。必ず満期までとはいいませんが、ある程度長期保有する投資スタイルに向いています。金利の動き次第で機敏に売り買いしたい投資家の方であれば債券ETFなどが向いています。ETFであれば株式と同様に、市場においてリアルタイムで売買が可能なので、短期でも利益をあげやすい側面があります。またETFは信用売買も可能ですので、レバレッジを効かせて債券投資をすることもできます。 

まとめ 

今回は債券投資の手法として個別債券への投資と、投資信託やETFを介した投資の違いにフォーカスを当ててみました。満期まで保有したい方は個別銘柄一択となりますが、それ以外にも投資家の求める運用方法によって最良の投資方法は変わってきます。投資信託やETFを使うことで、債券であってもドルコスト平均法を使って簡単に投資できるのは面白い点だと思います。また債券を運用ポートフォリオに組み入れるにあたってどちらか一つを選択する必要はなく、個別債券と投資信託やETFの両方を組み入れても全く問題はないと思いますので、運用選択肢の一つとして考慮しておくのも大事だと思います。金利が高止まりしている状況で、債券投資の妙味も増してきています。高い利回りを享受しつつ、今後金利が低下(つまり債券価格の上昇)する局面では保有資産価値を上げることになるので、多少債券を持っておいても損はないタイミングだと思います! 

なお個別債券への投資を検討する場合は、債券の価格は証券会社によって違うので複数証券会社に所属するIFAへ相談するのが早いです。基本的に証券会社から直接購入してもIFAを介して購入しても債券投資の場合は手数料が変わらないケースが多いです。適切なアドバイスを得ながら、複数証券会社間で一番単価の安いものを提案してもらえるチャンスがあるので、是非IFAの利用を検討してみてください! 

それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね! 

IFAへの資産運用のご相談は、IS.PROJECTSへお任せください。
黒田太郎
執筆者
黒田太郎
ファイナンシャルプランナー
オーストラリアのLaTrobe大学でコンピューターサイエンスを専攻。卒業後日系メーカーに就職しタイ、シンガポール、台湾に駐在し通算13年の海外生活を経験後、退職しFP(ファイナンシャルプランナー)として活躍中。 一人でも多くの人の役に立つような情報、たまにちょっとニッチな情報と幅広く発信させて頂きます! 保有資格 AFP認定者、ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員一種、応用情報技術者
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