ボンジョルノ!皆さん、こんにちは!
引き続き金利が高止まりしている状況が続いていますね。米国の10年債利回りは2023年6月16日時点で3.767%となっている中、日本は低金利で2023年6月20日の時点で0.386%となっています。この日米金利差から現在円安ドル高となっていますが、実際のところ日本以外の主要国はどこも米国と同様に金利を上げている状況で、日本だけがいまだに低金利を継続している状態となっており、円安状況を作り出しています。そんな状況下で米ドル建てのMMFでは利回りが4%を超える状況となっており、MMFで持っていれば良いのではないか?と思われる投資家の方も増えてきているのではないでしょうか?今回は金利情勢ならびに外貨建てMMFについて解説していきたいと思います。
日本の金利 世界の金利
上記表は主要国各国10年債利回りのリストです。日本だけが群を抜いて利回りが低いことがわかるかと思います。日本を除く各国であれば定期預金などに預けておくだけでもある程度の利子収入が期待できますが、日本の場合はご存じの通り銀行に預けておいてもほぼ利子がつかない状況となっているのは、こういう金利事情から来ています。一方で他国は金利を高く止めておかないとインフレをコントロールできなくなってしまうという負の側面からこの高金利がきています。日本は長らくデフレマインドが国全体を覆っており、インフレはしばらく起きていない状況でした。ただし最近は円安、原油や原材料価格の高騰もあり国内でもじわじわとインフレが始まっています。日本でもインフレの流れが始まれば、金利を多少上げないといけない状況になってしまうかもしれません。
投資家目線でいうと、国内投資家であればもっと利回りの高い外国為替で債券などの運用を行うことを検討する方もいるでしょう。海外投資家であれば日本円の金利が低いということは調達コストの低さに繋がっているため、レバレッジをかけて日本円で運用することを考える投資家もいるかもしれません。
では例えば、国内投資家の方が米ドル建てでローリスクローリターンな投資を行おうとした場合、どういった選択肢があるでしょうか?
MMFとは?MMFの特徴とその中身
・投資信託の一種
・売買手数料は基本無料
・数日だけ保有といった短期的な利用も可能
・毎日分配金が発生(解約しない場合は月末にまとめて受け取り)
MMFはMoney Market Fundの略となります。MMFも投資信託の一種なのですが、特徴として元本の安定性を重視し、ローリスクで運用が行われているのが特徴です。中身は債券ファンドとなっていて短期債が組み入れられているケースがほとんどです。なおMMF自体は証券会社によって売買のルールは多少違いますが、売買手数料無料となっているケースも多く、短期的に外貨をプールしておく目的などでも利用でき非常に使い勝手のよい商品となっています。
上記はニッコウ・マネー・マーケット・ファンドの交付目論見書から抜粋した上位構成銘柄の一覧です。https://www.smbcnikko.co.jp/doc-pdf/0099_001.pdf
償還日までの期間が短いコマーシャルペーパーで構成されていることがわかります。他のMMFについても目論見書をみれば主要構成銘柄がわかります。同様にコマーシャルペーパーで構成されていることが現時点では多いです。一言に外貨建てMMFといっても上記からわかるように中身は短期金融市場で取引される銘柄で構成された投資信託なので、似たような商品はいくらでも組成することができるため同一通貨でも複数のMMFが取り扱われているケースも多いです。例えばSBI証券のネット口座では現在米ドル建てのMMFは4種類存在しています。基本的にどのMMFも短期金融市場(償還期間が1年以下の金融資産を対象とするマーケット)で取引されるコマーシャルペーパーや割引短期国債などが組み入れられているのが特徴です。外貨建てMMFも投資信託の一つであるため目論見書が用意されていますので、そちらを確認するとどういった銘柄が組み入れられているかを確認することが可能です。
外貨建てMMFの特徴として毎日分配金が発生します。これら分配金は毎月の最終取引日に保有者に分配され、再投資されます。そのため証券口座で外貨をそのまま保持するのではなく、MMFとして保有しておくことで分配金を獲得することができるのが特徴です。また最終取引日前に売却した場合でも、保有日数分の分配金を獲得することができるため、非常に利便性の高い商品となっています。
また2023年6月20日時点で多くの米ドル建てMMFで4%以上の利回りがついており、利便性も高く、なおかつ利回りも高いという商品に現在MMFはなっています。
MMFのリスク 投資信託との違い
MMFにももちろんリスクはあります。MMFの中身は前述の通り投資信託となっており、分類としては公社債投資信託と呼ばれる債券のみで構成される投資信託となります。そのためMMFが保有する個々の証券の発行体の信用リスクなどがMMFのリスクとして存在します。ただし通常の債券ファンドと違い、短期金融市場で取引されるかなり満期期間の短い証券で運用しているため、値下がりリスクはほとんどありません。通常債券であれば金利が上昇する局面では、債券価格が下落するため、債券ポートフォリオの資産価値も下がってしまいます。しかしMMFの場合は、中に含む債券などの証券の満期までの期間が非常に短いため、金利動向による値下がりリスクはあまりありません。
例えばゴールドマンサックス米ドルファンドという米ドル建てMMFの目論見書をみてみると、上位10銘柄のうち6銘柄が翌日に償還日を迎えるレポ取引となっていて、その他4銘柄も満期償還日まで2か月から3か月の米国債となっていました。このように通常外貨建てMMFは金利動向による債券ファンド自体の値下がりリスクがほとんどないのが特徴となっています。
MMFのコストとリターン 手数料はかかるの?
MMFのコスト
MMFの売買に係る手数料は通常かかりません。ただし円・外貨(米ドルなど)の為替取引において両替手数料が通常発生しますので外貨建てMMFの場合は為替手数料を意識しておく必要があります。また前述の通りMMFは投資信託ですので、信託報酬といった管理費用を間接的に負担することになります。こちらのコストは直接負担するものではないので、別途取引時や所有期間中に直接支払うことはありません。
MMFのリターン
MMFは保有していれば毎日分配金が発生します。実際の支払いは月末にまとめて行われます。また月の途中に売却した場合はその際に分配金を受け取ることができます。利回りについては個別債券と違い、事前にきっちり利率が決まっておらず、MMFの運用実績に応じて分配金を受け取ることができます。毎月発生する分配金は、源泉徴収された後に再投資されます。そのため証券口座内で現金として持っておくのではなくMMFにしておくことで効率的に利回りを享受することができます。なおかつ売買手数料かからずいつでも解約できるので利便性や流動性もバッチリです。
債券 vs MMF 今投資するならどっち?
MMFがこんなに利便性が高いのであれば、債券ではなくてMMFに投資すればいいのではないか?そう考える方もいるかもしれません、確かにTreasury Bills(T-Bills)と呼ばれる償還期限1年以内の割引債の利回りは現在非常に高く、満期1か月ものの利回りであれば5.1%もつく状況となっています。逆イールドと呼ばれる短期債のほうが長期債より利回りが高い異常事態が常態化しており、中長期債を組み込む債券ファンドよりも短期債のみを組み込むMMFのほうが、利回りが高いという状態になっているのです。
では同じ米ドル建てであれば債券ではなく、MMFへ投資したほうがよいのでしょうか?確かに数日から数か月の短期での保有であれば、現在は外貨建てMMFで保有したほうがMMFが持つそもそもの利便性に加えて、逆イールドカーブからくる短期債の高利回りも享受することができ非常に効果的です。ただしMMFの場合は、分配金は約束されていません。つまりひとたび金利が下がり始めた場合は、分配金はそれにつられて下がっていくことになります。一方で債券を保有していた場合は、金利が下がり始めても定期的に発生する利金の額は変わりませんし、債券価格は金利低下に伴い上昇するため、満期前に売却したときの売却益も期待することができます。今が金利のピークだと考える投資家や、中長期的に安定したインカムゲインを期待する投資家であれば、債券への投資のほうが理にかなっています。
MMFの中身が短期債で構成された債券ファンドという理解をきちんとしておくことで、自身の投資スタイルに合った商品選択が可能になります。低金利時代の場合はMMFにしていてもほとんど金利がつかないのであまり見向きもしませんでしたが、昨今の金利の高止まりならびに逆イールドからくる短期債の利回りの高さにより、MMFの金利が非常に魅力的になっている状況です。
まとめ
現在の金利情勢ならびに逆イールド状態となっていることで、外貨建てMMFが非常に魅力的にみえるようになってきていることがわかったかと思います。とはいえ、MMFは実質短期債ファンドであるので、今後金利が下がり始めれば分配金もそれに応じてすぐに減っていくようになります。また金利が下がっても基準価格があがることはないので債券価格の上昇の恩恵を受けることもMMFの場合はできません。短期的にプールしておく外貨の投資先として外貨建てMMFはピッタリですが、未来永劫このMMFの利回りが続く確証はどこにもないのも留意すべき点です。とはいえポートフォリオの一部に外貨建てMMFを入れておくのも悪くない選択だと思います。運用ポートフォリオの設計に困った場合はIFAに相談するという選択肢も是非忘れずに!
それでは皆さん、アリーヴェデルチ!またね!